■「え、こんなところに潜んでいたの?」 バラした魚は大きかった……

こんな脛程度の浅瀬に良型アマゴが潜んでいました

 平坦といって差し支えないような瀬から小さな一匹を釣った後、あまり期待せずに惰性で、その先の流れ込みにフライを落としました。するとすかさず水面が割れます。

 「ん?」

 きらめく水面の向こうに見え隠れする魚体は、今までとは別格です。抗う力と泳力に細いティペット(8X)がどこまで耐えられるか不安になってきます。と、急におとなしくなってきて寄ってきたので、ネットを手に「これで気持ちよく帰れる」そう安堵しつつ掬おうとした瞬間、良型アマゴは身を翻したかと思うとさらりと(バーブレス)フックから解放され、あっという間に姿を消しました。

 あと少しで手にできた僥倖。脳裏に鮮やかに浮かび上がる艶やかな魚体と発達したヒレの残像。天を仰ぎながら悪態をつき、自分を責めました。同時に百戦錬磨のアマゴに素直にエールを送りたい。

 ちなみにイワナもいて、付いていそうな場所にフライを漂わせていると稀に飛び出してきてくれました。ただサイズは20cm少々までしか釣れませんでした。

 徐々に大きくなる遠雷を聞きながら車に戻り、ちょうど片付けが終わる頃にポツポツと雨が降り出しました。