山の緑もすっかり色濃くなりました。高原の渓でも残雪はわずか、雪代も収まって渓流釣りのシーズンもいよいよ本番です。
長野県、志賀高原から流れ出す「雑魚川(ざこがわ)」へフライフィッシングに行ってきました。ジャンルを問わず、釣り人たちから人気を集めるフィールドです。果たして釣果のほどは……。
■自然繁殖を繰り返し、原種イワナが泳ぐ雑魚川

長野県北部にある山ノ内町、日本有数のスノーリゾートである志賀高原の中央部を源流にしているのが雑魚川です。
管轄しているのは「志賀高原漁業協同組合(漁協)」です。ほとんどの支流を禁漁区・種沢としており、魚たちは自然繁殖を繰り返しています。そこからの“しみ出し効果”によって、持続可能な釣り場となっています。
放流なしの天然、原種イワナのみが釣れる貴重な環境で、モデルケースとして全国的にも注目されているフィールドです。

釣った魚を持ち帰ることもできますが、体長制限があります。他の漁協の制限に比べると基準が大きいので要注意です
例年、解禁は4月16日と長野県内でも2番目に遅い解禁日です。さらに川に沿うように走る林道(県道502号線)の開通も遅く、雪の多かった今年は5月中旬を過ぎてようやく通れるようになりました。
■低水温だけど、ドライフライに好反応!

雨上がり、すっきりとした青空にいわし雲が印象的な、どこか秋を思わせるような空が広がっていました。つい先日まで残雪で覆われた川原を勢いよく流れていた雪代はすっかり収まっていました。水位はむしろ低いくらいでしたが水勢はやや強く、ウェーダー越しに水の冷たさを感じずにはいられません。
雪も日陰にわずかに残るのみ、新緑の河畔の林床には ニリンソウやイチリンソウが可憐な白い花を咲かせていました。
入渓時の気温は14℃、水温は8.2℃です。「さすがにドライフライは厳しいかな」 そう思いながらロッドを振っていると、フライを見にくる気配を感じます。なるべくゆっくりとフライを流せる場所を狙っていると、パシャリ!
小ぶりですが雑魚川ならではの印象的なイワナが顔を見せてくれました。鮮やかな橙点が体側に散りばめられ、腹部の黄色も艶やか。華やかで煌びやかな魚体が目を引きます。
幸先のいいスタートに気をよくして釣り上がっていくと、ときおり魚たちが飛び出してくれます。なかなかフッキングしませんが、出てくる魚のサイズが徐々に上がってきてくるような気がします。

激しい流れの間、倒木と大きな石が絡み合った間のポケットのような緩衝流。キャスティングはともかく、ドリフトが難しいポイントでしばらく粘ってみました。倒木の枝が邪魔をしてなかなか思うようにフライを流せませんが、ようやく何度目かにうまく流せた瞬間、いかつい顔が水中からぬっと顔を出しました!
ロッド操作がままならない環境、強い流れに入り込まれないよう、必死にプレッシャーをかけながらどうにか無事にネットに導けたのは、流線型の肉厚な体が印象的なイワナでした。精悍で、野趣あふれる魚体に惚れ惚れします。