奈良は約1400年前、日本史上初の女帝とされる推古天皇が、聖徳太子とともに国家の礎を築いた土地です。そして2026年7月、『飛鳥・藤原の宮都(きゅうと)』がユネスコ世界文化遺産に登録され、都道府県別では最多の4件となり、世界中の旅人からさらなる注目を集めています。

大仏殿前交差点の様子。東大寺の参道を奥へと進むと南大門や大仏殿がある

 クルマにミニベロを積んで旅する「ゆる6の旅」、今回の舞台は古都の風情を今に伝える東大寺の周辺エリア。1998年に「古都奈良の文化財」を構成する8資産の一つとして世界文化遺産に登録された、日本を代表する寺町をブロンプトンで散走しました。

■いにしえの都・奈良のシンボルをゆるく走る

 奈良の地図を開いて平城宮跡歴史公園を見つけたら、その右(東)に目を向けると丘陵のふもとにある東大寺が見つかるはず。

 8世紀前半に起源を持ち、国家の安泰と民衆の幸福を願う仏教寺院として発展した東大寺があるのは、710年に都が移された平城京の中枢・平城宮(現在の平城宮跡歴史公園)から約5kmの場所です。

 「東」と冠するだけあって平城宮のほぼ真東に鎮座する事実にいまさらながら感動。いにしえの奈良の人々は几帳面だったんだなぁ、と思わずにはいられません。

カメラ目線で出迎える東大寺のシカ

 歴史の都である奈良のもう一つの象徴は「シカ」ではないでしょうか。「有名とはいえ、奈良公園に何頭かいる程度でしょ」、という筆者の思い込みは、奈良のメインストリートである大宮通り、よりによって奈良県庁前の真ん前で出会った、2頭のシカを目の当たりにして崩れ去りました。

歩道にも車道にもシカがのんびり歩いています

 片側3車線の通りを悠々と横切り、停車するクルマを意に介さない様子のシカですが、ドライバーたちはとくにイラつく様子もなく迂回してやりすごします。さすが世界遺産! というわけでもないでしょうが、そこで暮らす人々にも余裕が感じられます。

東大寺の南大門

 小雨交じりの奈良でしたが、今回散走に使える時間は2時間ほど。寺から少し離れた駐車場でブロンプトンを展開し、「きっと大勢の観光客の目指す方向に東大寺があるだろう」という気軽さでポタリングを始めました。