朝日に照らされた雲海を抜け、辿り着いたのは白馬連峰を映し出す八方池(はっぽういけ)の水鏡。さらに赤や黄色に染まる登山道を進み、360度の大パノラマが広がる唐松岳(からまつだけ・標高2,696m)山頂へ。

 今回は、北アルプスの人気エリアの中から、秋の八方池・唐松岳登山の魅力や見どころをレポートする。

■早朝の絶景へ!「ご来光リフト」で目指す朝イチの八方尾根

 まだほの暗い早朝5時、駐車場に車を駐め、黒菱(くろびし)第3ペアリフトに乗り込む。秋のひんやりとした空気を感じながら、静まり返った斜面を上がっていく。振り返れば一面に雲海が広がり、山並みが海に浮かぶ島々のようだ。リフトから見える絶景に、今日の山行への期待が膨らむ。

 八方池、唐松岳の紅葉登山は黒菱第3ペアリフトの「ご来光リフト」から始まる。始点となる黒菱駐車場は約200台駐車することができるが、アクセスが自動車に限られていることもあり、紅葉シーズンは早朝からどんどん埋まっていくので注意が必要だ。リフト乗り場でチケットを購入し、リフトに乗り込めば、登山道の入口となるリフト終点の黒菱平まで約7分の空中散歩が楽しめる。

ご来光リフトは、例年9月、10月は朝5時から運行(金・土・日・祝日のみ)。リフトの運賃は往復で大人1,700円、子ども1,000円(各種割引、手荷物運賃等あり)。

黒菱第3ペアリフトの詳細は、白馬八方尾根スキー場ホームページの「黒菱ラインリフト運行情報」をご確認ください。
https://www.happo-one.jp/trekking/kurobishi/

 黒菱平でリフトを降り、八方池を目指す。東の空が少しずつ白み始め、雲海の向こうから太陽が顔を出した瞬間、登山道の周りに広がる草や草原が金色に輝きだす。幻想的な世界に包まれながら、一歩一歩足を進めると約30分で八方池山荘、さらに約1時間10分歩くと最初の目的地・八方池が姿を現した。

ご来光リフトで黒菱平へ向かう
リフトを降り約10分登ったところで、雲海からのご来光が出迎えてくれた

■一瞬の奇跡!  紅葉の白馬連峰を映す八方池の「水鏡」

 初めて八方池を訪れたときは、ガスに包まれて真っ白だったため、今回は念願のリベンジだ。周囲を見渡せば、紅葉は見頃を迎え、空は透き通るような快晴、風はほとんど止んでいる。

 息をのんで池のほとりへと歩み寄り、カメラを構える。目の前に現れたのは、雲ひとつない青空と、赤や黄色に彩られた白馬連峰が寸分違わず水面に映りこむ完璧な「水鏡」だった。自然が織りなすあまりの美しさに言葉を失い、ただただ見入ってしまう。名残惜しさは尽きないが、後からやってくる登山者に場所を譲り、絶景が待つ稜線へと足を進めた。

八方池に映る紅葉の白馬連峰。完璧な「水鏡」だ
登山道から見下ろす八方池。名残惜しいが山頂を目指す

●八方池の「水鏡」はどれくらい珍しいのか?

 気象庁の観測データによると白馬村の9月、10月の晴天率は約45%、平均風速は0.9m/s。 水面は風速が0.3m/s以上で波立ち始めるとされるため、「晴天×無風」の条件が揃って美しい水鏡に出会える確率は、せいぜい20%といったところだろうか。