山の緑もすっかり色濃くなり、季節はいよいよ夏へと向かっていますね。渓流釣りのシーズンも本番といった感じです。

 今回訪れたのは新潟県上越エリアの渓です。筆者の住む長野県北部からは車で1時間半ほど。海からも近く、標高わずか100〜150m程度で下流はヤマメ、上流ではイワナが釣れます。なんと恵まれた環境でしょうか。この時期になるとフライロッドを手にふらふらと訪ねてしまうのです。

■流れから飛び出す元気なヤマメたち

緑の森を流れる清らかな流れ。この先でヤマメたちが釣れました

 上越エリアは日本海の海岸線から一気に急峻な山地となります。そのため、海からほど近い場所でもヤマメやイワナといった渓流魚たちが生息しています。一帯は豪雪地です。この冬は雪が多かっただけに雪代が引くのも遅く、ようやく渓流釣り、フライフィッシングを楽しめるコンディションになりました。

 川岸の鮮やかな緑に紫の花穂を垂れた藤の花がよく馴染み、渓に落ち着いた彩りとほのかな香りを漂わせていました。

 まず目を付けたのは、底石に乱されて表情を荒げつつも、どこかとろんとした雰囲気の瀬。ライズは見られず、ウェットフライを結びました。何度か流していると、滔々とした流れから浮上しては引き返していく煌びやかな魚影を確認できました。ヤマメです!

20cm少々でも、自然の流れに磨かれたヤマメは凄まじい引きをします

 流し方を色々と変えていると、ついにフライを咥えてくれました。元気なヤマメたちは泳力が強いため、小さくても力強くロッドをしならせてくれます。見かけたなかで一番大きいヤマメはついに釣り上げることができませんでしたが、小気味良く釣れてくれるヤマメたちにすっかり満足しました。

■イワナを狙って上流へ

木漏れ日が演出する緑の渓の流れ

 幸先のいい釣果に気を良くして、さらに上流へと向かいました。途中にある大きな堰堤の先からはイワナたちの渓に変わります。平水よりわずかに水が多いですが、その分魚たちの活性は高そうです。勢いよく流れる流心と対照的に、泡を浮かせながらゆっくりと流れる反転流。イワナを狙って流れにドライフライを漂わせてみますが反応がありません。

 再びウェットフライに切り替えました。馴染ませながら沈めたフライを狙いのポイントでターンさせると、グググっと確かな手応えが! しかし、フッキングしません。

 その後も瀬の肩などで何度も重量感あるアタリがあったのですが、不思議なほどハリ掛かりしません。ダウンだけでなくアップでも同じ感じです。流し方が合っていないといっても、これほど連続でフッキングしないのは初めてです。当然ハリ先はしっかりと尖っています。不本意ですが、その後の予定(会議)もあったので、後ろ髪を引かれる思いで渓を後にしました。