2025年も残りわずかですね。秋から冬にかけて本州の多くの一般河川での釣りが禁漁になりますが、自然渓流の一部を区切って「特別区」として一年中釣りが可能な場所があります。

 静岡県富士宮市の西側を流れる芝川の特別区キャッチ&リリース区間で、富士山を眺めならフライフィッシングを楽しんできました。

北海道や本州の一部河川では通年で釣り可能な場所もあります。

■一年中釣りができる! 「芝川観光非出資漁業協同組合」が管轄する芝川の特別区キャッチ&リリース区間

「田中屋」で受付をします。簡易郵便局であり、日用品や雑貨を扱う商店でもあります

 芝川は富士の裾野に端を発し、富士宮市の郊外で富士川へと注ぐ約22kmの流れで、途中には「音止の滝」や「白糸の滝」といった観光名所もある風光明媚な川です。

 「芝川観光非出資漁業協同組合」が管轄する芝川の中で、久保大橋上流〜西山堰堤までの約1kmが特別区となっています。テンカラ・ルアー・フライフィッシングに限定されたキャッチ&リリース区間となっているのですが、なんとここは禁漁時期がないのです。つまり一年中釣りをすることができます!

 簡易郵便局であり、日用品や雑貨を扱う商店でもある「田中屋」さんで受付、遊漁券を受け取ります。遊漁券は腕章タイプですので、補償金1,000円が必要です(腕章返却時に返金されます)。また、下流の境界は久保大橋ではなく、橋から上流へしばらく行った場所から始まりますので注意が必要です。

 区間内の下流部は里川の風情ですが、上流へ釣り上がると谷が狭まり渓流の感が強くなります。ニジマスは40cmを超える大物も数多く放流されています。禁漁時期の渓流釣りロス解消はもちろん、四季を通じてエキサイティングな釣りを楽しめる釣り場です。

■一番人気プールの裏で“竿抜け”を狙う!

富士山を眺めながらロッドを振ることができる下流部

 行ったことがある人ならご存知かと思いますが、釣り場が始まってすぐのプールは一番人気のポイントです。一見すると均一に見えるプールですが、水中では幾筋もの流れが複雑に絡みあっていてヨレています。ライズも頻繁にありますし、そこに潜むニジマスたちもバリエーションに富んでいます。まだスペースがありましたが、一番やりたい箇所にはすでにフライフィッシャーがラインを伸ばしていました。

「なにを食べたの?」良型ニジマスの捕食シーンを見ているだけでも楽しい

 人気のプールへは次から次へと釣り人がやって来るので、場所は空くどころかどんどんと混雑していきます。

 もう上流へ向かおうかと逡巡していると、そのすぐ下流、右岸側の分流の流れ込み部分がどうにも気になりだしました。しばらく観察していると、魚影が見え隠れしています。ときおりライズも起こっていますが、やや神経質そう。

1匹目は派手目の色合いが印象的なニジマスでした

 しかし、ひょっとしたら“竿抜け”かもしれません。良型が素直に反応しそうだと思い、そこを狙うことにしました。流れに馴染ませながら、水面直下にソフトハックル(フライの一種)を流し込むと、水中で身を翻すニジマスの姿が見えました。妙に色鮮やかな魚体が朝日に輝いています。ネットインしたモーニングレインボーが、恨めしそうに睨んでいます。幸先のいいスタートを切ることができました。