秋から冬にかけて本州の多くの一般河川での釣りが禁漁になりますが、その時期でも渓流釣りが可能な釣り場が増えています。河川の特定の区間に設けられ、ニジマスを対象とする“冬季釣り場”です。
そのひとつ、静岡県東部の小山町を流れる鮎沢川へ2週連続で訪れました。鮎沢川漁業協同組合が管理する冬季釣り場です。長野に住む筆者にとって釣り場までは片道約250km、時間にして3時間半ほどかかりますが、それでも訪れたくさせるような魚たちがいるのです。
※ 北海道や本州の一部河川では通年で釣り可能な場所もあります。
鮎沢川漁業協同組合 https://ayuzawagawa.com/index.html
■魚影を求めてリバーウォーク、ライズが連発するプールを発見!
12月初旬、到着したのは冬季キャッチ&リリース区間の最下流部の「金太郎橋」です。橋のたもとにある「足柄ふれあい公園」事務所のオープンを待って遊漁券を購入しました。
それまで暖かい日が続いていたのですが、当日は冷え込んで寒く、気温は6℃、水温は9.6℃でした。水位はずいぶんと低い印象です。いきなりの寒さに逡巡していたのですが、河原に立つ釣り人の姿に触発されて筆者もウェーダーに足を通しました。
数年振りに訪れたのですが、以前より水量が減っている印象です。魚がいれば見えるような場所にも魚影がなく、リズミカルに尾を振るセグロセキレイが石の上を上流へ誘うように移動していきます。その後を追うように魚を探しながらの河原歩き、初冬のリバーウォークを楽しみました。
■ライズが連発するプール、スレスレの魚たちに翻弄されて
橋を2つ潜った先に流れ込みから続くプールがありました。そこへ向かって歩いていくと、ライズ(魚の捕食行動が水面に表れたもの)があり、水紋が広がっています。どうせハヤだろうと思いながら近づくと、プールの下部に大きな魚影が揺らめいています! 6〜8匹程度でしょうか、定位していたり追いかけっこしたりしています。黄色や黒のコイもいますが、それより大きいニジマスも!
しばらく観察しているとライズの頻度が上がってきました。魚を見ながらのサイトフィッシングのチャンスです。ドライフライでの釣りを楽しむには、まさに理想のステージではないでしょうか。
しかし案の定、ニジマスたちはフライを流しても興味がある素ぶりで近づいては、そっぽを向いて戻っていきます。かなりセレクティブな様子。流下する極小の何かを見つけては、レーンを移動してでもしきりに口に含んでいました。ユスリカでしょうか。川面には羽化したてのカゲロウもちらほらと舞っています。
一番先頭で活発にライズしている魚に狙いを定め、それ以外の魚にも「もし反応したらラッキー!」程度にフライを見せてみます。場を休ませながらフライを交換しつつ、5本目に結んだフライが狙いのニジマスの頭上を通過した直後、急に気が変わったのか、くるりと反転してフライに向かって大きく口を開けました!
フッキングはバッチリです。フライをしっかりと咥えた40cmくらいのニジマスは、広いプールのなかを縦横無尽に走り回ります。ティペット(ハリス)は魚のサイズとフライとのバランスを考えてギリギリの8Xでしたが、あっという間に切られてしまいました……。その後はまるで相手にされないまま、日が傾いて終了となりました。