梅雨の最中。雨は嫌ですが、この時期の雨が森、そして川に潤いをもたらしてくれます。雨が数日落ち着いていたタイミングで、ずっと気になっていた渓へフライフィッシングに訪れてみました。

■ずっと気になっていた渓

美しい森と水の造形に見惚れてしまいます。眺めているだけでも幸せです
うっそうとした森のなか。障害物に身を潜めながらポイントを狙ってフライを落とします

 筆者には冬によく訪れる、とある山があります。

 深いわけでも広い訳でもない穏やかな森の平らに小さな渓があります。豪雪地帯ながら真冬でも水が流れていて、渡るために渡渉点を探さないといけません。流れを横切るたびに、そこに潜んでいるであろうイワナたちを想像していました。

 数日前まで雨が断続的に降っていたのですが、水量は増えているどころか、やや細く感じます。気温は19℃、水温はなんと予想を大幅に下回る8.8℃。深い山のなかですのでウェットウェーディングでしたが、ウェーダーを履いて来たかったくらい水は冷たいです。

 入渓点からさっそくいい雰囲気です。川虫の様子を観察したりしつつ準備をして、先に同行のルアーマンに釣りを始めてもらうと、いきなりイワナが飛び出しました。野趣あふれる、天然魚の特徴がありありと出ていました。

 「いいタイミングで来れた!」 今日この渓を選んだことが正解だったと顔を合わせてにんまりとし、上機嫌で釣り上がっていきます。

■濃い魚影、しかも高活性!

なだらかな地形の森。おだやかなせせらぎに心和みます
フトオモンカワゲラのニンフ。水中には水生昆虫の幼虫たちがぎっしりでした

 高低差のある細い渓は、妙に滑りやすくて釣り上がるのに苦労します。とくに山岳渓流ではラバーソールのウェーディングシューズを使用することが多いのですが、フェルトの方が良かったのかもしれません。しかし、斜面の登り下りやアプローチの登山道や林道歩きを考慮するとラバーソールに軍配が上がります。くわえて環境面でも、“種”の移動の問題を考えるとラバーソールの方がいいのではないでしょうか。

※ ラバー、フェルトに関わらず、毎回、釣行後は洗浄しています。ウェーダー、ゲーター、ネット等も同様です。習慣化するとさほど面倒でもなく、その日の釣りを振り返りながら日常へのリセットをする時間となります。

 さて、出だしがよくてその後が続かないことも往々にしてあるのですが、そのまま気前よくイワナたちが顔を見せて続けてくれました。サイズこそ20cm少々ですが、次々と水面が割れます。

 やがて地形が平らになっていき、真っ直ぐに伸びたブナが目立ち出しました。あいかわらず細い流れですが、石裏には水生昆虫たちのニンフやラーバ(幼虫)が多く見られます。小さなカゲロウや羽虫も飛び交っています。厳しくも、餌が豊富な恵まれた環境。豊かな森の産物でしょう。

 先行する同行者のロッドが大きくしなっていました。駆けつけてみると、尺にこそ届かないものの、太く、飴色に鈍く光る立派なイワナでした。

 流れを横切る踏み跡が出てきました。ここはちょうど冬も歩くルートです。あわよくば、まだまだ遡行するつもりでしたが、その先はむき出しの砂利の河原に一筋、本当に浅い流れが細々と続いていく様子でしたので、ここでロッドを畳むことにしました。