両白山地(りょうはくさんち)の東側、岐阜県北西部は日本の原風景を彷彿とさせてくれる地域です。緑豊かな自然が残る一帯には清流が幾筋も流れ、渓流魚たちが息づいています。雪代が混ざる新緑の渓へフライフィッシングに訪れました。
■残雪の渓は高活性! 幸先のいいスタート

全国的に雪が多かったこの冬ですが、この一帯もかなり降り積もりました。さらに春先になっても冷えた日が続き、山あいには遅くまで雪が残っており、5月中旬の取材日も残雪を踏みしめてのアプローチとなりました。

森にはウワミズザクラの白い花穂が華やかに彩りを加え、藤の花が雅やかな香りを漂わせています。日陰には残雪がありますが、季節は初夏へと向かっているようです。

1時間ほど歩いてから予定していた入渓ポイントへと到着しました。流れには雪代が混ざり、予想より水量が多く流れも早いです。しかし同行のルアーマンにはちょうど良さそうなくらいですし、筆者もフライを沈めればチャンスがありそう。流しやすいポイントだけに絞って釣り上がることにしました。

気温は14℃、水温は8.2℃です。大きな岩の落ち込みの淵には大きな反転流が渦巻いていました。ビーズヘッドニンフにオモリを加えて流れにゆっくりと漂わせていると、何度かアタリがあった後にうまくフッキングしました。小ぶりですが元気のいいイワナの姿に嬉しくなります。幸先のいいスタートを切ることができました。
■胸踊るサイトフィッシング! 大きな魚影に大興奮

上流へと釣り上がっていくと、だんだんと水が細く流速も遅くなっていきました。難所は高巻いていたのですが、川岸に降りる前に流れを観察していると岸際の緩衝された流れのなかに大きな魚影が揺らめいています! 目を凝らして水面の煌めきの下を見つめていると、どうやら大小、何匹か潜んでいるようです。胸踊るサイトフィッシングに俄然テンションが高まってきました。
慎重に川岸に降り、いざ流れに近づいてみると、黒っぽいカゲロウたちが乱舞しています。水面が割れて魚が飛び出してきそうです。しかし、気配を察したのか件の大物の姿はありません。
思ったより複雑な流れにうまくフライを乗せるべく何度かトライしていると、水飛沫とともにフライが消えました。明らかに狙っていた魚とは違うイワナでしたが、それでもドキドキさせられました。