夏本番のような暑い日が続いていますが、梅雨はどこにいってしまったのでしょう？ 関東甲信越の梅雨入り宣言直後、まとまった雨が降りました。その数日後、猛暑から逃げるように、南アルプスの某沢の源流部へフライフィッシングに出かけてきました。
■まるで早春！ 驚きの低水温！
関東甲信越でも梅雨入り宣言がされました。しかし、まとまった雨が降ったのは最初だけで、連日30℃を超えるような暑い日が続いています。標高が高く（涼しく）、それでいてアプローチが楽な場所。もちろん魚影が濃くて良型が釣れる渓。そんな釣り人のわがままな望みを満たしてくれる渓へと向かいました。
南アルプス北部の標高2,000ｍに近い山奥ですが、歩きも少なく林道から程よい場所で川へ降りることができる、非常にアクセスのいいフィールドです。当日は15分程度歩いてから入渓しました。
朝、9時半の気温は9.8℃、水温に至ってはわずか6.6℃で暑さとは無縁の世界、まるで早春を彷彿とさせるコンディションです。流れに濁りはなく澄んでいますし、源流部では水位も下がっていました。しかし流速が速く、果たして魚たちが反応してくれるのか半信半疑で、重めのニンフ（水生昆虫の幼虫を模したフライ）を沈めます。
落ち込みから吐き出されたフライがゆっくりと反転流に巻き込まれていくと、グググっと確かなアタリ！ 勢いのある流心に逃げ込まれないように慎重に手元に引き寄せると、見た目も麗しい源流のイワナの姿がありました。
※この渓には本来はヤマトイワナたちが生息していましたが、放流されたニッコウイワナとの交配が進んでおり、いまや純粋な（見た目の）ヤマトイワナが釣れることは滅多にありません。
■心癒される美渓！ 素直に飛び出す魚たち
緑に覆われた穏やかな渓相、滔々と流れる川面に木漏れ日がアクセントを加え、渓は明るい表情を見せており、まるで天国のような光景が広がっています。ちらほらと舞う小型のカゲロウやカワゲラたちに加えて、蝶や羽虫などの陸生昆虫たちも活発に活動しだしました。
さらに新緑の河畔林の足元は緑鮮やかな草原となっており、シロバナノヘビイチゴが可憐な花を咲かせています。穏やかな渓相と相まってまるで桃源郷のようです。2時間ほど釣り続けると水温は7℃台となり、この頃には深く沈めているフライより、水面を漂っているマーカー（目印）目掛けて飛び出してくる魚が増えてきました。
ドライフライに結び変えてみました。雨の後で警戒心が薄れているのでしょうか。気前よく魚たちが水面を割ってくれます。
