朝晩はだいぶ涼しくなりました。9月も後半となり、渓流釣りシーズンもいよいよ終わりに近づいています。早いところはこの記事が公開される頃には禁漁となっているでしょう。
※ 河川や漁協によりますが、本州ではイワナやヤマメなどの渓流魚は9月中に禁漁となる釣り場が多いです。
長野県南部、伊那谷の山中は3日連続で10mm程度の雨が降り、一気に季節が進んでいます。日中は蒸し暑い日も多いですが着実にやってくる秋の気配に、渓流釣り愛好者としては寂しさと焦りを感じずにはいられません。
フライフィッシング一式に加えてルアーロッドもバックパックに忍ばせて、通い慣れた渓へと向かいました。今シーズンを締めくくるような一匹と出会えるでしょうか。
■迫る禁漁! 秋の気配が漂いだした渓へ

長野県のほぼ真ん中にある諏訪湖から流れ出した天竜川は、東西それぞれを南アルプス、中央アルプスに挟まれた伊那谷を流れます。途中、数多の支流を取り込みながら「川下り」でも有名な名勝地「天龍峡」を経て、静岡県で太平洋に注ぐ川です。
今回は、その上流部「天竜川漁協」が管轄するエリアの支流、山岳渓流へと向かいました。
長野県南部では総じて少雨だった夏ですが、ここ数日、秋雨前線の影響で断続的に雨が降り続いていました。さらに早朝から2時間ほどダメ押しの雨も降り、山中は湿った空気が漂っています。家から約20km、車で30分ほどの距離です。もし増水具合がひどいようだったら、釣りをせずに帰ってもいいと思っていました。

山の斜面を下っていくと、落ち葉の合間からキノコもたちも顔を出して、芳醇な香りが立ち込めていました。あれほど森を賑わせていた蝉の声も聞こえなくなり、すっかり静かになった渓には瀬音だけが心地よく流れています。
■ダメ押しの雨で濁る渓、ルアーの出番!

流れより一段高いところから見下ろすと、あいにくまだ濁りが残っていました。ただ水量はだいぶ落ち着いています。休憩しつつ1時間ほど流れを観察して、のんびりと準備を進めます。
実は今回はフライロッドと一緒にルアーロッドも忍ばせてきていたのです。今年、渓流用スピニングロッドとリールを新調したのにまだほとんど使っておらず、ずっと機会を伺っていたのでした。
しばらくは反応がなく、ルアーのキャスティングを楽しみながらゆっくりと遡行していきます。
すると、川岸まで泳がせたピックアップ直前のミノーの後ろに、大きな魚体が付いてくるではないですか! 目が合うと、慌てて身を翻して戻っていきました。黄金色に輝く後ろ姿が印象的でした。

その後濁りが薄まるにつれて、魚たちの反応は良くなっていきます。しかし先ほどのような大物はなかなか口を使ってくれません。
■ルアーからフライへ! 好反応だけど良型は渋い

ルアーで数匹釣った後、気がつけばずいぶんと透明度が上がっていたので、今度はフフライロッドに持ち替えました。

雨のおかげで警戒が薄れているのか、ルアーと同じくらいに好反応です。しかし、フッキングして釣り上げることができるのは20cm台前半の魚たちばかり。良型も飛び出すのですが、フライを直前で見切っていたり、掛かっても即バレです。だんだんと心が乱れてきます。
すっぽ抜けるたびに後ろの枝にフライが引っ掛かり、ラインを結び直した初投で流れから顔を出す枝に引っ掛けて……。悔しくて雄叫び、イライラして奇声を上げながらの釣行でした。クマ避けにも効果がありそう……。