例年より早く北上した桜前線。あっという間に過ぎゆく季節。桜を撮るか、渓流でフライフィッシングするのか迷ってしまいます。
断続的に雨が降ったり止んだりしていた4月初旬、長野から新潟、そして群馬へと雪代の影響の少ない川を求めて釣り歩いてきました。
■雪代の影響がない川を求めて
ちょうど新潟との県境に程近い群馬県北部で仕事がありました。長野県に住む筆者にとって、これはありがたいチャンスです。近隣の河川では山々からの雪解け水、雪代で川の水量が増えて釣りにならないところが多いのがこの時期です。仕事が終わったら、そのままフライフィッシングをしようと目論んだのでした。交通費節約の面からもありがたいです。
翌日の釣りのために、仕事へ向かう道中も川が気になって仕方ありません。長野県北部から新潟県は雨で勢いを増した雪代で轟々と水が流れています。この水の勢いに乗って遡上してきた魚たちには今後期待できるでしょう。
群馬県に入った途端に天気は一変。晴れ間が広がる穏やかな空が広がっていました。しかし水量はかなりあり、上流のダムの放流次第ではありますが、落ち着くのにはまだ時間がかかりそう。
仕事をしながらも、翌日からの釣行に心が躍ります。幾度も訪れた場所ではありますが、まだまだ初めて通る道があります。新しい景色にトキメキ、その先で出会うであろうまだ見ぬ渓にワクワクします。
■春、水生昆虫たちが羽化する素敵な渓へ
山里にはまだまだ桜が咲き残っており風情があります。うっかりすると花見になってしまいそうでした。さて、移動途中に目についた某川へ。地形図とにらめっこしながら、上流や下流の流れや堰堤の有無、周辺の地形を観察します。まず気になる支沢から釣り始めることにしました。
気温は14℃、水温は8.8℃。飛び交う虫たち。やや多めの水量ながら穏やかに流れる山里の川は、まさに理想的な春の風情で、ロッドを振っているだけで嬉しくなってしまいます。しかし何もないまま魚留めとなる堰堤まで着いてしまいました。一度戻ってから今度は本流を釣り上がっていきます。
釣りを始めて約2時間。コカゲロウの集団ハッチや石の上で羽化したてのカワゲラたち。魚影を見ていないことを忘れて、虫たちの観察にすっかり夢中になっていました。水温は10.4〜10.8℃で、これまた申し分ありません。棲んでいるのはヤマメなのか、イワナか、はたまた両方か。それぞれの付き場を想像しながら丹念に釣り上がっていきました。ライズでもあればわかりやすいのですが……。
あっという間に夕方に。ついに魚信を得ることがありませんでした。春うららかな流れにラインを伸ばした一日。首を傾げながらも、どこか満ち足りた気分で渓を後にしたのでした。