■太い流れに磨かれた一本に大満足！
先ほどのアタリの感触を反芻しながら釣り下っていきますが、何もないままランの終わりまでやってきました。
次の瀬が始まるところ。高低差もあり狭まった流心が橋桁に絡んでかなり複雑な流れになっています。その脇の岩がちなポイントにフライが差し掛かりました。根掛かりかと思わせるような鈍く重たい手応え。ヘッドシェイクの脈動が30mほど伸びたラインから伝わってきました。フッキングも問題なさそう！
流れに乗って下流へと走る魚に7番ロッドは弓形にしなり、1940年代のオールドリールがけたたましい音を立てています。パーミングしながら牽制しつつ、魚が横を向いたタイミングで強制的にこちらに顔を向かせることに成功しました。そのまま大きく逆巻いている反転流に誘いこんで、じわじわと寄せてきます。砂が溜まった白い川床に黒い魚影が見えました。そのまま何度か水面から顔を出させて体力を削ぎます。
無事にネットに入ったのは45cmほどのニジマスでした。貫禄のある風貌で体高、そして何よりもその太さに驚きました。ただ太っているのではなく、人間なら胸から肩、背中にかけての筋肉が隆々としており、逆三角形のようなプロポーションです。扇形に広がる尾ビレの発達具合も見事。あのパワフルなやり取りにも納得の体躯でした。太い流れに磨かれた歴戦のニジマス、レインボートラウトでした。
午後の光のなか、コカゲロウが飛び交っています。久々の押しの強い流れのなかでの立ちこみの疲労と、先ほどの一本の充実感ですっかり満たされていたので、あとは消化試合のようにロッドを振ってスイングさせてを繰り返しながらステップダウンしていきます。
帰りがてらに立ち寄ったランでは先行者がいたので、車内からそれを眺めながら休憩、気がついたら寝入っていました……。
