背後に北アルプスがそびえる山岳景観、標高差と距離のあるコース、四方八方に延びる尾根をまたぐ豊富な地形をもった斜面の数々。世界にその存在を知られつつある国内屈指の規模と人気を誇る八方尾根は、人が増えてもシーズンに一度は滑りたい場所の筆頭だ。
■志向やレベルを問わず人々を惹きつける八方尾根
海外のゲストたちが全身を真っ白にしてリフト待ちをしたり、絶景の中でジョッキを片手に仲間と談笑する姿を見ると、同じ雪山好きとして嬉しくなる。八方尾根の魅力は、国内外に広く知れ渡っていると改めて実感するものだ。
八方尾根はその名の通り、スキー場のトップから四方の尾根に16ものコースが延びている。その大半が滑りごたえ十分の中急斜面。山頂から麓までの標高差は1,071m、最長滑走距離は8kmもある。コブ斜面や豊かな地形など、滑り派にはたまらない条件が揃っており、背後の北アルプスを越えて降り注ぐ雪は上質であり、かつ量もある。厳冬期ともなれば、コースの各所に新雪が降り積もり、パウダー滑走が存分に味わえるスキー場なのだ。
■ 圧倒的な山岳景観存分に味わおう
「世界が虜になるロケーション滑らなくても満足できる」
そんな八方尾根を、ローカルの井田拓馬と伊藤瑠耶が、晴天率の上がる3月頭に朝イチから存分に滑ってみた。
天気の良い早朝は、空気が澄み渡り、遠くの山々からスキー場の背後にある北アルプスまで大パノラマが味わえる。この空気感に包まれるだけで、もう満足な気分。2人とも「ヤバいっす」の言葉しか出てこない。
その景色に浸りながら滑りたいのがリーゼンスラロームだ。平均斜度は20度そこそこなのだが、幅が広いコースは斜面を大きく使え、かつ全長は3,000mというロングラン。尾根に沿った東向きの斜面は、斜面変化が豊富で、フォールラインに身を任せて、滑り降りるだけでも気持ちがいい。360度を圧倒的なロケーションに囲まれた晴れた日の朝イチのリーゼンだけでも、八方尾根を滑る価値は十分にある。
スキー場上部にかかるリフト運行が始まったら、標高をあげて山頂へ向かうと、白馬三山をはじめ北アルプスの勇姿が眼前に迫ってくる。圧倒的な景色に息を飲もう。
■メインコース以外にも目を向ける
「林道、迂回路、緩斜面脇。視野を広く取って安全に楽しむ」
中急斜面が全体の半分を占める八方尾根は緩やかな起伏ある地形を繋ぐ、ロングクルージングが魅力なのは間違いない。
「でもね……」というのは飛んで当て込み擦るのが得意な2人。緩い斜度のコースにある壁や地形の凹凸の豊富さこそ八方だという。それは主にメインコースを迂回する林道や初中級コースが当たる。ロースピードで流しながら、周囲の状況をよく観察しながら、遊べる地形を拾っていくと、ロングコースを滑るのと劣らないほど楽しく遊べ、そして疲れる。
なかでもパノラマ林道は、脇の壁に茂った木々が整備され、コース幅も広くちょうどいい。周りに配慮しながら滑ってこそ、上手いスキーヤーだ。