冷えたと思ったら、急に暑くなったりまた寒くなったり……。今月は寒暖の差が激しいですね。アウトドアアで活動するにはなかなか難しい面もありますが、逆に季節の変化を感じることもできます。
再び純白のベールを被った富士山。その裾野、風光明媚な「忍野」をゆったりと流れるのが桂川の上流部です。湧水を集めた流れは澄んで魚たちも丸見えです。4月の下旬に散り際の桜を愛でながら、フライフィッシングを楽しんできました。
■穏やかなスプリングクリークに泳ぐトラウト天国!
忍野地区はフライやルアーフィッシングのメッカとして人気のエリアです。すぐ上流には天然記念物である湧泉群「忍野八海」があり、富士山の伏流水に水源を発する、たおやかな清流での釣りが魅力です。
湧水による川(スプリングクリーク)は、一年を通じて水温が安定していて魚たちの活性もいいです。ヤマメやイワナ、ニジマス、ブラウントラウトといった鱒たちが狙えます。ゆるやかに蛇行する流れが林の中を流れ、おだやかな雰囲気も魅力です。
一帯を管轄する「忍草(しぼくさ)」漁業協同組合は、一般的な漁協のエリアのような広い範囲ではありません。けれども魚の種類も数も豊富、さらに大物も潜んでいると思うと、遊漁券の日釣800円、年券4000円は破格だと思います。ウェーディング(流れに立ち込む)しない分、安全な上に軽快に歩けるのも魅力ですね。
フライフィッシングは全域で可能ですが、ルアーやエサ釣りはエリアが限定されている箇所もあります。
忍野村観光情報(忍野村役場 観光産業課):http://www.vill.oshino.yamanashi.jp/docs/2013032300046/
当日、早朝の気温は9℃で肌寒さを感じましたが、日中は20℃を超え、この季節の忍野にしては暖かい日でした。長袖のシャツで日向を歩くと汗ばむ、もう初夏のような陽気です。それでも木陰は涼しく、風爽やかで過ごしやすかったです。果たして釣果のほどは……。
■無視される喜び!? サイトフィッシング
まずは、川に沿って歩きながら気になるポイントを見つけます。魚影も濃く魚もよく見えるので、いわゆるサイトフィッシング、魚を選んで狙う楽しみもあります。
釣り人に慣れすぎた魚たちは、一般的な渓流釣りと違い、先行者の後だからといって釣れないことはありません。ただし、百戦錬磨の魚たちは選球眼が鋭く、フライの鼻(先)でぷいっとUターンしたり、まるで相手にしないでガン無視するのが得意です。それがまた釣り人の心をくすぐる要素でもありますね。
僕自身、誤解を恐れずに言うならば、魚を釣ることが目的ではなく、フライフィッシングという行為を通じて四季折々の景色の中、川面を見つめて過ごす時間が楽しいのです。そんな事を考えていると、また魚がフライの直前でUターンして戻っていきました……。
特に一匹釣るまでは、いろいろと試行錯誤しながらフライや流し方を変えて試していく作業がこの上なく楽しいのです(経験豊かな釣り人なら、もっとスマートに釣れるのでしょうが)。魚たちの気持ちを想像し、じわじわとすり合わせていく、根気のいる作業になります。
川面には散った桜が流れ、行く春を感じさせる風情がまさに漂っています。ただし、その花筏がなかなか厄介で、フライやラインの先端に引っかかってしまうので、なおさら不自然さを暴露してしまいます。