桜の季節も終わりを迎えたところが多いかと思います。けれど長野県の山あいでは、花がまだまだ見頃のところがあります。

 黄砂の影響で霞む山並み。4月中旬に長野県南部(南信)、天竜川の支流へフライフィッシングへ出かけました。行く春を惜しむように、お花見ドライブと渓流のフライフィッシングのセットです。

■春爛漫! ピンクに染まる山里でお花見ドライブ

道中の川沿いには桜が咲き誇り、山里がぱっと明るくなっていました

 周囲の山から清冽な水を諏訪湖に集め、太平洋へ向けて伊那谷を流れる天竜川。本流も人気ですが、東西に聳える南アルプス中央アルプスから流れ来る数多の支流群も魅力的です。行ったことのない沢、竿を出したことのない渓の風景、渓流魚たちとの出会いにワクワクします。管轄するのは「天竜川漁業協同組合」です。

天竜川漁業協同組合:http://www1.inacatv.ne.jp/~tenryugawa-gyokyo/

 この日選んだ先は、その名も「花街道」です! 実は学生時代によくキャンプに来ていた場所が奥にあるのですが、約30年前のことなので、記憶はもう定かではないです。おそらく、それほど変わっていないだろうと思わせるような、懐かしい山里の風景です。季節柄、全体としては渋い色合いの景色なのですが、川に沿って桜が咲き誇り、華やかなコントラストが目にまばゆいほど。道端には水仙や花桃なども彩りを添えています。

風が吹くたびに川面に花びらが舞い落ちて、儚げな美しさを感じます

 良さそうな場所を物色しながら車を走らせ、あわやドライブとお花見で終わりそうな気分になりかけた午後、一番色気がある(いい魚が居そうな)ポイントに狙いを定め、ようやく釣り支度で川に下りました。

カワゲラの脱皮シーンに遭遇!

 流れを見守るように桜が咲いています。途中では満開だった桜ですが、少し標高が上がると(日当たりや種類にもよりますが)まだ5分咲程度です。水温を測ると9℃に届きません。それでも、じっくりと観察していると、見逃そうなほど僅かなライズを発見しました。魚は多いらしく、何箇所かで散発的に起きています。

【1】脱皮中のカワゲラ。アダルト(成虫)への最終ステージです
【2】脱皮中のカワゲラ。くしゃくしゃだった羽を徐々に伸ばしていきます
【3】脱皮中のカワゲラ。羽を伸ばし、乾かしている様子。だんだん色も濃くなっていきます

 魚たちの好みを見極めようと眺めていると、水際の石の上で脱皮途中の「カワゲラ」を見つけてしまいました(オナシカワゲラ?)。 ライズの観察をしながらも、カワゲラの様子が気になります。クシャクシャだった羽を伸ばし、乾かし、やがて模様が出て色濃くなり……。今度は水生昆虫観察で終わりそうです。

カワゲラ水生昆虫の一種。水中に生息する小さなヤゴのような幼虫。陸上に上がり羽化、アダルト(成虫)となる。ストーンフライ。日本に300種以上いると思われる。

 カワゲラのアダルトへの変態も一段落したようなので、いよいよ釣り開始です。まずは当然のように、件のカワゲラと同じようなパターンのフライをティペットに結びました。水面に変化はなく、かすりもしないような感じです。