渓流釣りの解禁を迎えて2ヶ月ほど経った長野県白馬村・小谷村を流れる姫川とその支流群は、北アルプス北部の東麓に位置する。そのため、とくにシーズン前半は冬の豊富な積雪の影響が大きい。

 3月は水辺のほとんどが雪に覆われ、4月になっても気温、水温ともに低く、さらに雪解け水によって水勢もある。5月に入って麓の木々も新緑美しく、ようやくシーズンが本格化してきた。だが今度は“梅雨の走り”でぐずついた天気が続いている。釣れないわけではないが、一般的には釣行も釣果も厳しいものになる。少しでも効率よく釣りをするコツは……。

■清冽な雪解け水を日本海へ運ぶ姫川

 実は姫川の源流は山奥ではなく、白馬村の田園地帯にある「姫川源流自然探勝園」の湧水群となっている。上流は意外なほどのどかな里川の風情で始まり、平川や松川と合流することで一気に水量を増す。国道148号線に沿って谷間に入り、さらに西の支流から水を集めつつ、新潟県糸魚川市を抜けて日本海へと注ぐ。

姫川の上流部、禁猟区の下流で釣れたニジマス。レッドバンドが美しい(2021年撮影)

 春先は雪溶けで濁りや雪代が入るが、基本的には透明感のあるエメラルドグリーンの流れが魅力的で、流域では放流されたものに加え、自然繁殖しているイワナやヤマメ、ニジマスが泳ぐ。私見ではあるが、アプローチが楽な場所でも魚影が濃くスレていない魚が多いのが姫川上流流域の特徴だと思う。

■支流は時期とコンディションで選ぶのがポイント!

 このエリアの特徴は、北へ向かって流れる姫川を中心にして東側と西側の沢でコンディションが大きく異なることだ。

白馬村内を流れる松川の上流、北股入も北アルプスの雪解け水で水量が多い

 西側には北アルプスが聳え立ち、急峻で奥深い沢が多い。ゴールデンウィークでスキー場の営業は終了したものの、山の上にはまだまだ雪が豊富に残っている。シーズン前半は、気温の上昇や雨によって増水や濁りが入ることも多い。上流部は高低差の大きい山岳渓流で、ただでさえ遡行が困難なうえに水量が多いと行く手を阻まれやすい。リスクが高いので避けたいところだ。

 のんびりと釣り上がりながら楽しむには、梅雨明けくらいまでは、本流より東側の山並み、「東山」から流れくる沢で釣るのが確実なことが多い。ただしこちらは山肌や川床が泥っぽい沢が多く濁りやすい。護岸・河川改修工事なども頻繁に行われるので、その影響がないところを見つけるのがコツだ。あまり北に行くと、今度は雨飾山や金山、天狗原山付近の残雪による影響もある。とにかくコンディションのいい沢を見つけることが釣果につながる!