夏から続くように秋になっても暖かい日が続いていましたが、ようやく冷え込んできましたね。地域によっては雪も降り、一気に冬景色となっています。秋になると本州の多くの一般河川での釣りが禁漁になります。それと入れ替わるタイミングで増えているのが、河川の特定の区間に設けられた“冬季釣り場”です。

 11月下旬のとある小春日和。群馬県前橋市の中心部を流れる利根川の冬季釣り場へ赴きました。

■日本一の利根川が“冬季釣り場”に!

河川敷公園「敷島緑地」沿いが釣り場のメインステージ

 言わずと知れた日本三大河川のひとつ「利根川」。関東平野を横断して太平洋へと注ぐ広大な流域面積は日本一です。

 「冬季釣り場」はその本流、しかも群馬県庁の所在地である前橋市のただ中を流れる釣り場です。管理小屋のある場所は、河川敷公園「敷島緑地」です。綺麗な芝のグラウンドでスポーツを楽しんだり、犬を連れて散歩する人たちの横でニジマスを狙うのは、なんだか不思議な感じがしてしまいます。

 放流される中には“ハコスチ”も入っています。ハコスチとは、遊漁用に群馬県の水産試験場が開発したニジマス(レインボートラウト)です。野性味が強いスチールヘッド系ニジマスと、群馬県のみが保有する飼育しやすい箱島系ニジマスを交配したもの。スチールヘッド系の特徴を引き継いだ“引き”の強さと箱島系の姿形の美しさを併せ持った魚です。

群馬漁業協同組合“冬季ニジマス釣り場”

■景色は最高! 気持ちのいいスイングの釣り

離れていても目立つ群馬県庁はランドマーク。本州の都市型河川でニジマスを狙えます

 数日前からダム放水の影響で水量は多めでした。滔々と流れる川の向こう、下流には群馬県庁のビル、上流方向を振り返れば榛名山の山並みを眺めることができます。川面を吹き下ろす風がやや強かったですが、開放的な広い秋空の下、ラインを伸ばしてフライを流すのは爽快な気分です。

 しかし、フライラインが表層の流れに取られ、どうしてもスイングスピードが速くなってしまいます。おまけに横方向のみのスイングで縦に動かせておらず、魚が釣れそうな気がしません。一見均一に見える水面の下には複雑な地形と水流があるのですが、現状ではただ水面直下を撫でているだけです。より重たいラインに変える手もあるのですが、水量が多く立ち位置が限られているので根本的にポイントを変える必要がありそう。このままでは釣果は絶望的な気がしてきました。

上流に目を向ければ榛名山も眺めることができる。釣りをしていても気持ちのいいロケーション