尾瀬の北に位置し、新潟県と福島県にまたがる「奥只見湖」。只見川を堰き止めて造られた通称“銀山湖”は、イワナやヤマメ、ニジマスといったトラウトやその他の魚たちが多く生息する場所として、釣り人たちに大人気のフィールドです。特に湖で大きく育った魚たちは、かねてより太公望を引きつけ続けてきました。
ボートでの釣りに限らず、流入する支流でも湖と行き来する大物を狙えるとあって、シルバーラインが開通すると多くの釣り人が訪れます。筆者も何度か橋の上から大イワナを見かけており「いつかは……」そう思い、年に数回ですが足を運んでいます。
■ルールを守って未来へ釣り場を存続させる
まずは現在の魚影が多い釣り場を維持するためには、釣り人としてルールを守ることが最低限必要なことだと明記しておきます。保護水面の禁漁エリアや「イワナ・ヤマメ・ニジマスの採捕は5尾まで」など、いつまでも“夢のある”釣り場環境を保つために試行錯誤の末、ここにたどり着いたと聞いています。
魚沼漁業協同組合:http://www.uonuma-gyokyou.or.jp
筆者が訪れたのは6月下旬。梅雨の中休みで、周辺にはしばらくまとまった雨は降っていませんでした。釣りをするのは標高750mあまりですが、雪渓から流れ落ちる水は冷たいです。迷ったのですが、ウェーダーを履かずにウェットウェーディングスタイルで臨みました。
水温は11.7℃で、膝下の流れの冷たさが、ネオプレーン製のゲーターを通してじわじわと沁みてきます。それでも、トラウトたちにとっては快適な水温ですので、期待して釣りを始めました。
■高プレッシャー下での釣り「基本のストーキング」が大切
福島県へと続く国道352号線は銀山平から先はまだ通行止めです。そのため、岸釣り、さらに川での釣りにこだわると選択肢は少なく、釣り人の密度が高まって自ずと魚へのプレッシャーは高まります。
ドライフライを水面に漂わせると何度か魚が飛び出しますが、うまくフッキングしません。ウェットフライにもショートバイト気味です。
開けた河原は気持ちよくフライラインを伸ばすことができるのですが、魚からも丸見えです。渓流釣りの基本に立ち帰り、ストーキング(魚に気づかれないように忍び寄る)を意識してみました。さらに4番ロッドに3番のフライラインに変更し、リーダー・ティペットも長くします。すると、先ほどまでの反応が嘘のように、浮上してきたイワナがゆっくりとフライを咥えてUターンしました!