■飴色の大イワナ! 見事なジャンプでフックアウト

 低い堰堤を5つほど這い上がるように乗り越えていよいよ大詰め、あと少し先に進んだら退渓です。2度ナチュラルに流して反応がなかったので、誘うようにアクションを加えてみます。

 いきなり黒い影が水中から浮上したかと思うと、ひったくるようにフライを咥えました。ニジマスのように大きくジャンプしてヘッドシェイク! そしてもう一度! 飴色に艶かしく輝く魚体はどう見ても尺以上あります。サイズ以上にパワフルで、ますますニジマスのような激しいファイト、弓形にしなるロッド、興奮もマックスです。

 しっかりとフッキングしているし、バラすこともないだろうと、正直ほくそ笑んでいました。ラインのテンションは保っていたのですが、心の緩みのせいでしょうか。次の瞬間、3度目のジャンプとともにポロリとフックが外れ、テンションを失ったラインが力なく宙を舞っていました……。

 悔しくて誰もいないのをいいことに、つい大声で叫んでしまいました。クマ避けにちょうどいいのかも。この近辺での山仕事も多いのもありますが、ここ数年、おそらく一番訪れているのがこの渓です。薮のなかに刻まれた踏み跡には僕が維持しているところもあります。訪れてすぎて食傷気味な部分も多少あったのですが、これでまた訪れる理由ができてしまったのでした。