■憧れのフラットシャロー! 海でフライフィッシング
滞在の後半になるにつれ、天気予報こそ悪いものの場所や時間によっては青い空が見える時間が増えてきました。ようやく海へと繰り出します。当初、奄美大島トリップ一番の目的は海! そして釣りでした!
浅く透明度の高いビーチ。奄美大島はフラットシャロー天国です。そこで魚を見つけて狙って釣るサイトフィッシングが楽しめます。この海での“フライフィッシング”を楽しみにして訪れたのです。
しかし、連日荒れた空模様が続き、ときに強風混じりの激しい雨が降りました。毎日ロッドを持って海辺には立っていたのですが、なかなかチャンスは訪れませんでした。
ようやく訪れた風穏やかな日。海の色はエメラルドで遠浅のショアが広がっています。ですが、なかなか魚が見つけられません。むしろ魚に先に発見されてあっという間に逃げ去られてしまいます。敏感すぎる。
ひとまず修行不足を認めサイトフィッシングを諦めます。地形や潮の流れを考えながら、ブラインドでフライを泳がせます。1時間、2時間、背後に迫る森からは鳥とセミたちの合唱が響いています……。
そのときはいきなりやって来ました! フライが着水したと同時に、引ったくられるようなアタリ、そしてダッシュ! サイズこそ大きくないですが、広い海原を走る魚に大興奮でリールファイトです。テールキャッチしたのは、南国ムード満点のクロヒラアジでした。
ポイントを移動して外海が近い岩礁帯へ。ここは今回で一番魚影が濃く、小さなトロピカルフィッシュに混ざって、釣りの対象になりそうなサイズの魚が多くいます。オオモンガラの反応が良く、フライを流すとすぐに飛びついてきました。しかしさすが根魚、フライを咥えたまま無数に空いた穴へと逃げ込まれます。小さいものはすぐに引き寄せられますが、少しサイズが大きくなると根掛かりと変わらないような状態に陥ります。最後は浅いのをいいことに回り込んで、逃げ込んだ穴からラインを手繰って引っ張り出して無事にキャッチしました……。
最終日は夜明け前からロッドを振りましたがアタリすらなく、一度だけヘラヤガラらしき魚のチェイスを見たのみで終了となりました。
普段は“海なし県”に住み、仕事でも山に関わることの多い筆者にとって、四方を海に囲まれた南国の島は、かなり非日常の体験をさせてくれました。入り組んだ海岸線と深い森で構成された奄美大島は、ドライブしているだけでも新しい発見だらけで、ワクワクします。
初めて知るような郷土料理も多く、夜は黒糖焼酎と合わせて舌鼓をうつ日々。出会う島の人々もみな人当たりが柔らかなことも印象的でした。車の運転もゆっくり。スピードを出しているのは、ほとんどがレンタカー。緩やかに流れる島の時間にすっかり魅了された、初めての奄美大島トリップでした。