鹿児島県の薩摩半島最南端に位置する指宿市は温泉が豊富な地。市内には1,000を超える泉源が確認されており、いくつもの温泉施設が点在している。そして、浜辺では温泉の熱で温められたぽかぽかの砂に包まれる「天然砂むし温泉」を体験できる。また、指宿市には錦江湾の入り口に美しい円錐形の開聞岳がそびえ、山頂から眺めるパノラマビューが格別だ。開聞岳の登山とともに、天然砂むし温泉で疲れを癒す、“これぞ指宿”という旅を体験してきた。
■町のシンボル「開聞岳」
薩摩半島の最南端にそびえる標高924mの開聞岳は、日本百名山のひとつに数えられる秀峰。錦江湾口から東シナ海にせり出た独特な地形をしており、美しい円錐形のフォルムが特徴だ。「かいもん山麓ふれあい公園」に登山口があり、往復6時間の登山が楽しめる。ルートは森歩きや岩場など変化に富んでおり、途中の展望台や視界が開けたビューポイントから海や半島、洋上の島などを見ることができる。
山頂からは360度で景色を見渡せ、一方は開放的な大海原、もう一方は指宿市内が一望できるパノラマビュー。天気に恵まれれば、遠くの海に浮かんだ屋久島や硫黄島まで見ることができる絶景だ。
<おすすめルート>
かいもん山麓ふれあい公園→開聞岳→かいもん山麓ふれあい公園
(所要時間:約6時間)
■指宿といえば「天然砂むし温泉」
登山のあとは、指宿名物の「天然砂むし温泉」を楽しむために「砂むし会館 砂楽(さらく)」へと向かう。世界的にも珍しい「天然砂むし温泉」は、海岸に湧いている天然温泉で温められた砂に包まれながら、入浴ではなく“砂浴”を楽しむというもの。砂の下を温泉が通っているそうで、浜辺の海水を触ってみると想像以上に温かい、というより熱いほどだ。
“砂むし”は、波打ち際の海岸と、全天候型の施設内のどちらでも体験できるが、波打ち際は気候が良く、大潮などで潮が引いているときだけ体験可能となる。
また、「天然砂むし温泉」の砂は黒いのが特徴。何度も噴火して生まれた指宿エリアは、一般的な砂と比べると、色が黒くて粒子が大きいのだという。
今回は、海がすぐ側に見える波打ち際で砂むしを体験。熟練の砂かけスタッフが砂を堀ってくれ、そこに横たわるとびっくりするほど砂が温かった。スタッフが全身に砂をかけてくれるのだが、その重みも心地いい。
温かい砂に包まれていると、全身がじんわりと蒸されているような感覚。体の芯までぽかぽかになって、汗がどんどん吹き出してくる。
砂に埋まっている時間は約10分ほど。時間がきたら、「エイ! 」と力いっぱい砂を突き破って起き上がる。砂の重みからの開放感と海風の爽やかさは、サウナから出たような心地よさだ。
砂から出たら施設に移動して、シャワーで体についた砂を流し、温泉大浴場でほっこり。浴場にはサウナも完備されている。体だけでなく、心もデトックスされたような気分になる「天然砂むし温泉」は、指宿市を訪れたらからには絶対はずせない体験だ。「砂むし会館 砂楽(さらく)」の利用料は、砂むしと温泉の体験をはじめ、浴衣やインナー、タオルのレンタル、温泉の入浴など、さまざまなセットが用意されている。