鹿児島県霧島市は、「霧島錦江湾国立公園」に指定されている霧島連山や桜島がシンボルの錦江湾など、山と海の景観を楽しめるロケーション。そんな霧島市を電動アシスト付き自転車(E-bike)でめぐりながら観光を満喫! 立ち寄りポイントを設定し、途中で気になる場所があればちょっと寄り道。そんな気ままな“E-bike&TRIP”の様子を紹介していこう。
■鹿児島空港のすぐそば「西郷公園」からスタート

九州南端の鹿児島県。その主要空港である鹿児島空港は霧島市に位置している。空港から徒歩5分でアクセスできる「西郷公園」が今回の旅のスタート地点で、園内にある「霧島市西郷公園観光案内所」でE-bikeをレンタルできる。また、案内所では霧島の観光情報をあれこれ確認できるし、イベントや立ち寄り入浴施設など旅に役立つ情報も入手できる。


西郷公園には、10.5m、重さ30tという大きな西郷隆盛の銅像が鎮座している。実在した人物像としては国内最大級となる。空港前を通る大通りから見ても、銅像の顔がちょこんと飛び出しており位置がわかりやすい。
銅像の正式名称は「現代を見つめる西郷隆盛像」。もともと違う場所に建設するため作られたが、発注者が死去したことで計画が頓挫し、富山県にある鋳造会社の倉庫に長年保管されていた。その存在を知った地元有志が募金を集め、1988年にこの場所に設立したというから、地元民の西郷隆盛への愛の深さが感じられる。建設の際、銅像は富山県から船で錦江湾へと運ばれてきたという。
■茶畑を抜けて、「鹿兒島神宮」を目指す

今回の旅は、鹿児島空港から南下しながら錦江湾を目指すというもの。西郷公園を出発し、次なる目的地の鹿兒島神宮に向かっていくと、十三塚原という霧島茶の一大生産地を通る。美しい茶畑が広がる開放的な場所で、ときどき空港を離着陸する飛行機も目にできる気持ちいい場所だ。
霧島山麓に位置する霧島市は、霧が発生しやすくお茶の栽培に適し、霧島茶は香りとコク、味わい深いうまみが特徴なのだとか。

高速道路を越えてのどかな県道を進んでいくと、少し上り坂があるが、電動アシスト付きのE-bikeなら楽々進んでいける。やがて、鹿兒島神宮に関連する小さな神社が点在しはじめたので、ちょっと寄り道をして、奈気木の杜(なげきのもり)という一帯に楠が茂る「蛭児(ひるこ)神社」に立ち寄ってみると、想像以上の楠の巨木が圧巻だった。
奈気木の杜は古くから歌に詠まれているそうで、「日本最南端歌枕の地」とされる看板がある。また、「神代の楠(かみよのくすのき)」という、枯れた木株が残るなど、神話にまつわる見どころが多くて楽しい。
■国の重要文化財に指定されている「鹿兒島神宮」

雄大な桜島を眺めるように、小高くなった丘陵に位置する鹿兒島神宮。大隅国一の宮であり、数少ない「神宮号」を名乗る神社だ。海幸彦、山幸彦の伝承の地で、神が祀られたのは神代の時代とされ、初代天皇である神武天皇の御代だとも伝えられている。南九州最大級の神社として古くから厚い信仰を受け、もともとは桜島と深い関わりのあった神社とも考えられ、中世~近世は八幡神を祀る「大隅正八幡宮」として栄えてきた。
大鳥居と二の鳥居をくぐり、石段を上がった先に本殿などがある。石段の脇には樹齢およそ800年の御神木がそびえている。





鹿兒島神宮は、本殿、幣殿、拝殿、勅使殿が一直線に並んでいるのが特徴で、境内および周辺は国の史跡に指定。宝暦6年(1756年)に建てられた現在の社殿は、国の重要文化財に指定されている。
拝殿の天井画には200以上の花々や野菜が描かれており、よく見るとサボテンなどの絵があって南国らしさが感じられる。また、鹿児島県などの南九州に多い極彩色の龍柱も見ごたえがある。こうした豊かな装飾からも、古くから信仰を集めてきた歴史や格式の高さを実感できる。

鹿兒島神宮では清嵐という「御神馬(ごしんめ)」を飼っており、おやつをあげる体験ができる。御神馬がいるのは参道の石段を上がる途中、左手に入ったところ。神馬舎の横におやつのにんじんが置いてある。
また、境内には安産祈願のご利益がある「石體(しゃくたい)神社」など、いくつもの摂社や末社などもあり、ゆっくり時間をかけて参拝できる。