■通らずのゴルジュも難なく突破!

平水であればけっして通過できない、というより通ろうともしない“通らずのゴルジュ”もただの廊下です。一番狭い箇所の前後では魚影が濃く、というより比較的素直にフライに反応する魚が増えました。
岩の隙間にはすっかり勢いをなくした水が細々と流れ、その弛みからはイワナが飛び出しますが、尺(約30.3cm)に絡むような良型は、なかなかフッキングまでは持ち込めません。空振りを繰り返しますが、それだけでもドキドキします。

この辺りはとりわけ釣り人が普段なら入らない(入れない)場所です。上流にいくほど釣りやすくなっていきます。アプローチ、プレゼンの仕方さえ間違えなければ好釣果間違いなし、そのうち尺上も出そうだったのですが……。
わずかな隙間から見上げた空の様子がどうも怪しい。携帯の電波はないので確認することができません。しばらく悩みましたが、エスケープに計画していた支沢を詰めて退渓することにします。車まであとわずかというときに、雨がポツポツと降り出しました。空はさっきよりむしろ明るく意外でしたが、少しペースを上げて車へ。待っていてくれたかのように激しさを増した雨はどんどんと勢いを増していました。

夕方には止んでしまった雨。すぐ隣の我が村では、まったく降っていなかったようです。このところずっと、まとまった雨が降っていません。どうやら取水の量は生態系ではなく人間の生活優先のようです。夕立でもいいからひと雨ほしいところ。今後の渓の状態が心配です。