厳しい暑さが続いています。夏休みやお盆休みなどに、山や海へのアウトドア、旅行などに出かける機会も多いでしょう。初めての道を通る機会もあるかと思います。しかし入念に下調べしないと、軽い気持ちのドライブが一転、難路を運転するハメになるかもしれません。

■あれ? 国道のはずじゃ……

まるで渓流釣りに向かう林道のような、国道です!

 岐阜県から富山県へと移動するときのことです。何気なく設定したナビに「プラス15分余分にかかる」ルートが表示されました。そちらも国道ですし、何やら川沿いを走るルートのようで、渓流釣りが好きな筆者にとってはむしろ楽しそうです。

 当日は気持ちよく晴れたドライブ日和。何度か走ったことのある国道41号線から国道471号線、472号線へとルート変更したのでした。

 国道41号線から国道360号線へ。そこから国道471号線、472号線へ分岐した集落の外れ、いきなり狭くなった道は車一台分ほどの幅です。

 「抜け道かな? ま、一瞬だけだろう」

 運転中ですし、停車する路肩もないのでナビ画面を凝視することなく、そう思って逡巡しつつも先へと進みます。

 道はそのまま山奥へと勾配を上がっていきます。Uターンしようにも、曲がりくねった狭路が続き、転回するスペースもありません。見通しが悪く、ハンドルを何度も切り返すのは危険でしょう。

舗装がすっかり風化した? もはやグラベルロードです

 急な山の斜面に刻まれた道、ガードレールもありません。ツギハギだらけの舗装は、やがて風化して砂利道のような状態の箇所も出てきました。ただでさえ狭いのに蔓延る草に車体を擦り付け、先行きに不安になってきます。これでは普段渓流釣りに行くときに走行する林道と変わらない状態です。場所によっては自転車の方が良さそうなところも……。

楢峠を越えたあたり。紛らわしい文言。すれ違った車の人からの情報がなければ引き返していたかも……

 せめてもの幸運は、道中すれ違った車が一台だけだったこと。かなりの距離をバックしてからどうにかすれ違い、先の状況を尋ねてみるとどうやら通行できるとのこと。それを聞いてひと安心。富山県まで抜けたい気持ちが強くなりました。

行き止まり、ではなくて立派な国道です

 その先も順調に? 難路は続いていき、剥き出しの土砂崩れの跡、散開する石。アプローチアングルギリギリの斜度変化……。とにかく緊張の連続で、とても国道とは思えない様相で、歩いた方が早いかもしれない箇所もあります。

 「楢峠(ならとうげ)」を越えてしばらく、富山側に進むにつれて、若干ですが道幅も広がっていきました。草刈り跡やガードレールも設置されていたりして、ようやくひとごこちついたのでした。

県境。ここから富山県富山市です
八尾町栗須あたり。楢峠に比べればずいぶんと快適ですが、国道のイメージとしては悪い方ではないでしょうか

 キャンプ場温泉がある八尾町杉平あたりで道がずいぶんと広がったのも束の間、またしても道は曲がりくねって幅も狭くなります。しかし、峠越え区間があまりにもハードだったために、その程度は快適そのものでした。

 後から調べてみると楢峠の前後のこの区間は『開かずの国道』としても有名らしく、通る車もほとんどいないそう。納得です。およそ20kmの間、信号もまったくありませんでした。必要ないから当然か……。