■苦心の末の一匹! 夕闇のライズに魅せられて

秋の光に煌めく美しい魚体。放流された魚とはいえ、つい見惚れてしまいます

 さて、アトラクター的なパターン(リアクションで誘うようなフライ)には全く反応がありませんでした。ニジマスたちは、流れてくるものをとにかく疑うことから始めているよう。

 ユスリカがかなり目立っていたのでそれをヒントにして、ピーコックハールを巻いただけのボディにムアヘンをさらりとハックリングしたソフトハックルを細いティペット(ハリス)に結びました。

 さらに流れのないところだと簡単に偽物だと見抜かれてしまうので、流れ込みに沿わせるように流してようやく魚が掛かりました。一瞬大物かと勘違いさせられたほど強い引き、そしてジャンプを何度も繰り返します。果たして、ネットに入ったのは拍子抜けするほど小さなニジマスでしたが、美しく染まったレッドフィンの見惚れるような魚体が煌めいていました。ようやく一匹です!

 たまに釣れたりバラしたり、釣りに没頭しているとあっという間に夕方です。夕闇迫る頃、プールでごく控え目なライズ(水面付近での捕食行動の表れ)が散発的に始まりました。ここに来てようやくドライフライの出番だと米粒ほどの極小のフライを結びましたが、あまりにも静かな流れの中、僕の技量ではフライの異物感を消しきれません。当然のように魚たちは無視を決め込んでいます。早々に釣りを諦めました。

 残照の水面に静かに広がる妖艶なライズ。吸い込むような魚たちの捕食の様子を飽きることなく眺めていました。これはこれで幸せな時間です。

釣れない時は特に一匹のありがたさを感じます。型は小さくても引きの強いニジマスに楽しませてもらいました