■「また来年!」イワナの感触を確かめて

何度か空振りした後、ネットに導くことができたイワナ。黄金色が強いのがこの渓のイワナの特徴です
渇水状態の流れですが、岩のそばの巻き返しやわずかな深みを丁寧に探るとイワナたちが鼻先を出します

 すっかり減水した流れ、イワナたちの姿も見つけやすいです。しかし、浅いところにいる個体はすでに産卵を意識しているのかもしれません。恋の邪魔をしないようにそっとしておいて、岩の隙間の深みにいる魚に的を絞ってフライを流しました。

 ひと流し、ふた流ししたくらいではなかなか出てきてくれません。けれど。じっくりとフライを見せつけると暗い水の奥から浮上してきます。ゆっくりとフライを咥える魚、勢いよく水面を割る魚、小気味よくロッドを絞る感触を味わいながら、感謝の気持ちを込めてハリを外して流れに返します。

比較的早めに釣れた、最終日一番の良型。尺にはわずかに届きませんでしたが、顔の大きさから、もっと大きくなりそう。来年に期待です!

 しっとりとした渓の空気を吸い込んで深呼吸。名残惜しいですが「また来年来ますね」と心の中で挨拶して渓を下っていきました。

黒ずんだ顔、鰭、まるで秋色を纏ったような魚体に見惚れてしまいます