ウィンタースポーツが楽しい時期になった。この冬スノーボードを始めてみようと考えている方もいるのではないだろうか。スキー場には公式に掲示されているルールだけでなく、滑走者同士が安全に楽しむための“現場の基本マナー”がある。

 ところが初心者では、この暗黙のルールを知らずにトラブルを招いてしまいやすい。長年ゲレンデに通っているが、実際、事故の多くは技術よりも「状況判断」や「位置取り」の問題が原因で起きると感じている。筆者自身、合流手前で減速が足りないままライン変更し、上から滑ってきた人の存在に気づけず、進路が交差して接触しかけたことがある。

 この記事では、スノーボード歴の浅い人が特にやってしまいがちな3つのNG行動を紹介する。

■NG1. ゲレンデ中央で座り込む

やむを得ず座る場合は、コース端に寄り後続の進路を確保する

 まず知っておきたいのは転倒した際の注意点だ。転倒したあと、ついその場で座り込んでしまう人は多い。しかし斜面の中央は最も衝突リスクが高く、初心者事故の典型的な原因になっている。筆者も初心者の頃、転倒後にその場で座り込んでしまい、上から滑ってきた人に直前で急停止されてヒヤリとしたことがある。この経験から、転倒した際はいち早く場所を移動することを意識するようになった。

●中央はなぜ危険なのか

 ゲレンデ中央は滑走ライン上であり、後続の滑走者が速度を出して接近してくる場所である。上から見ると意外と死角になりやすく、座っている人に気づいたときには避けきれないことがある。特に混雑した休日は追突リスクが一気に高まる。

●安全な場所を知ろう

 転倒しても、立ち上がれる状況であればすぐにコース端へ移動するのが基本である。どうしても座る必要がある場合も、上から滑ってくる人の進行ラインから外れた位置を選びたい。

 自分が滑ってきた方向や斜面の上方を振り返り、後ろから滑ってくる人がいないかどうかも確認しよう。

■NG2. リーシュコード未装着で板が流れる

トップシートを雪面に向けて置くと、ビンディングが噛み合い板が流れにくい

 “板流れ”を知っているだろうか。滑走中や休憩時に、ボードと足を繋ぐリーシュコードをつけていない板が勝手に滑り出し、斜面を一気に下まで流れていってしまうことで、筆者もその光景を何度も目撃してきた。硬いバーンではスピードが増し、追いかけても止められない。他人にぶつかれば重大事故になるため、初心者こそ「自分は大丈夫」と思わずに必ずリーシュコードを装着すべきである。

●板流れが“重大事故”につながる理由

 板が斜面を滑り下りると、想像以上のスピードで加速し、下にいる人へ衝突する危険がある。板だけでも十分な重さがあり、他の利用者に当たれば大けがにつながりかねない。ゲレンデで最も注意すべき行為の一つとされている。

●初心者向けリーシュコードの正しいつけ方

 板流れを起こさないために、まず正しいつけ方を知っておこう。リーシュコードを装着する前に、板が滑りにくい状態をつくることが大切である。ブーツを固定するビンディング(バインディング)という金具がついたトップシート側を雪面に向けてひっくり返すと、ビンディングのパーツが雪に噛み合い板が動きにくくなる。

 この状態でリーシュコードをブーツとビンディングにつなぐ。その後にボードを装着するのが正しい手順である。「トップシート側を雪面に置く → リーシュコードをつける → ボード装着」の順番を徹底したい。

■NG3. 合流ポイントで後方確認を怠る

左側から別コースが合流するため、進入前の後方確認が必須

 複数のコースが合流する場所は、衝突が最も起きやすいポイントである。初心者は自分が思う以上の速度が出てしまい、「止まれない・曲がれない」状態になりやすい。合流点に近づく前に、自分が確実に止まれる・曲がれる速度まで落としておくことが、後方確認と同じくらい重要な対策となる。合流点への進入前の後方確認と速度調整は、事故を防ぐうえで欠かせない行動である。

●下側優先の原則と衝突が起きる理由

 ゲレンデには「前方(下側)が優先」という基本ルールがある。ただし、下側にいる人が何も確認せず動いてよいという意味ではない。合流ポイントなどでは、下側から滑り出す側が上方(後方)を確認し、周囲の動きを把握したうえで進む必要がある。

 視界の死角から高速で滑ってくる人も多く、確認を怠ると衝突につながる。自分が優先だと思い込むと事故の原因になりやすい。

●初心者でもできる後方確認のコツ

 まず、斜面の上方と左右をしっかり見ることが大切だ。斜面に対して板を横向き(斜面とほぼ平行)にして減速・停止すると、周囲を確認する余裕が生まれる。

 その状態で、目線だけでなく上半身ごと軽く回して上方を確認すると、死角が減り安全性が高まる。合流地点では一呼吸おいて周囲の動きを見るだけで安全度は大きく上がる。焦らず余裕を持つことが初心者にとって最善の対策である。

■おわりに|安全に滑るための最初の3ステップ

 今回は、初心者にぜひ覚えておいてもらいたい、ゲレンデでのマナーを紹介した。座る位置、リーシュコードの装着、後方確認。この3つは難しい技術を必要とせず、今日から実践できる基本である。安全な振る舞いを身につけることで、ゲレンデでの時間はより安心で楽しいものになる。周囲の滑走者と安全意識を共有しながら、安全に雪山デビューを迎えてほしい。