■泣きの延長戦! 2ndステージへ
不本意な釣果だった1stステージ、これで帰るには無念すぎます。泣きの延長戦へ、さりげなく小林さんを誘いました。車で上流へ移動し、山岳渓流らしい細流へ。車窓から見え隠れする流れに「やはりフライ向き(の流れ)」と、ほくそ笑みます。
河原には卵塊を付けた大量のカワゲラが行き来していました。過去に実績のあるポイントを目指して薮の中を抜け、「ここだけ先にやらせて」とさりげなく牽制、ドライフライを細めのティペットに結びます。浅い流れの中、様子を伺うイワナの姿を確認しました。執拗に流していると、ついに水面が割れました。オーバーアクション気味に大物感を演出、ネットに収まったのは泣き尺の29cm! 想定以上に大きなイワナです。
これを見てスイッチが入った小林さんは上流へ向かいますが、ショートバイトに苦戦している模様。僕はこの場所に何度も入っているので、渓の先までイメージできています。後ろから竿抜けしていそうな場所を狙うと、イワナたちが小気味よくフライを咥えてくれます。しかし、小渓流でルアーの後でも釣れるということは、かなり気を遣って釣り上がってくれている証拠でもあります。ふと、なんだか申し訳ないような、後ろめたいような気持ちになってきたのですが、小林さんも要領を掴んだようです。ようやく釣れ出したのでホッとしたのでした。
お互いに満足できる、釣りができればそれが一番ですが、自然相手なので上手くいかないときも多いですね。順番のせい、そして道具の違いのせいにしたり……。これを言うと元も子もないのですが、競うこと自体がナンセンス。「比べたがる、一番になりたがる」それを乗り越えた先に釣果にとらわれない、釣りが待っているのかもしれませんね。