テントは一度設営してしまうと、あとから場所を変えるのは現実的に難しく、設営前に場所を見極めることが重要だ。
本記事では避けたほうがよいテント設営場所と、それぞれの対策を紹介する。
事前に注意すべきポイントを知っておくことで、設営場所選びの失敗を防ぎ、快適で安全なキャンプを楽しむ手助けになれば幸いだ。
■【川沿い】夏は人気の設営場所だが、危険も潜む

川沿いにテントを張る際に最も注意すべきは、増水のリスクだ。
夏は涼を求めて水際にテントを張りたくなるが、命に関わる危険もある。過去の事故も踏まえ、川沿いキャンプでの注意点と対策を紹介する。
●急な増水に要注意! 天候は現地だけでは判断できない
川の水位は、自分が今いる場所の天候と必ずしも連動しない。山間部では、数十キロ先で降った雨が時間差で流れ込み、突然増水することも珍しくない。特に夜は状況把握が遅れやすく、避難が間に合わない可能性がある。
1999年、神奈川県の玄倉川(くろくらがわ)では、キャンプ中のグループが増水に巻き込まれ、13名が死亡する事故が起きた。見た目が穏やかな川であっても天候次第で一気にリスクが高まる。
●川沿いで快適かつ安全に過ごすためには
一番重要なのは、川から十分な距離を取ることである。川の中州は避け、できれば、5〜10mほど離れた一段高くなった場所が望ましい。また、川のせせらぎは日中は心地よく感じられても、夜になると意外と大きく響く。寝る時に音に敏感な人は、これも距離を取ることである程度緩和できる。
天気予報も必ず確認を。現地の天気だけでなく、上流の予報もチェックしよう。離れた地域の雨が時間差で流れ込むこともあり、油断は禁物だ。
■【傾斜】設営場所は「水平な地面」が基本

広くて開放的な土地は、キャンプをするにも気持ちがよいが、かつて牧場だった土地や、スキー場をキャンプ場にしている土地には傾斜がある。
傾斜地にテントを張ると様々な不都合が生じる。設営前の確認と工夫で、傾斜によるストレスを回避しよう。
●傾斜地を避けたほうがよい理由
傾斜のある場所にテントを張ると、以下のような不都合が生じる。
・同じ方向に偏って眠ることになり寝づらい
・テーブルの水平が保てず、コップやランタンが安定しない
・卓上コンロの火力が一方向に偏り、調理がうまくいかない
●傾斜地を避けるための対策と工夫
傾斜地があるキャンプ場の場合、アーリーチェックインがあれば利用し、なるべく平坦な場所を確保するのがおすすめである。
もし傾斜地に設営せざるを得ない場合、以下のような対策をとるとよい。
・水準器アプリを使って確認する
傾斜を確認できる水準器アプリを利用すれば、目視ではわかりにくい傾斜も把握できる。
・テントの向きは「頭が高く、足が低く」なるように張る
傾斜を感じたら、頭が上になるように寝ることで少しでも快適になるようにしたい。余った毛布があればマット下に敷くと調整しやすい。
・テーブルやチェアの脚に厚紙や板切れをかませて調整する
厚紙や平らな薪などを脚にかませて高さを調整しよう。筆者は6缶パックのビールの厚紙を活用したこともある。土の地面なら、脚の下を少し掘るのも手だ。