登山やアウトドアに興味はあるけれど、「道具も知識もないし、きついのはちょっと……」と躊躇してしまう人は多い。そんな人にこそ紹介したいのが、栃木県栃木市と佐野市にまたがる「三毳(みかも)山」だ。標高229mという控えめな数字から、「なんだ、ただの丘じゃないか」と侮るのは早い。実際に訪れてみると、この山はアウトドアの入口にぴったりな魅力が詰まっていた。
■様々な目的をもった方々が訪れる山

みかも山に登って、まず驚くのは、訪れている人たちの多様さだ。登山スタイルで山頂を目指す人もいれば、芝生にレジャーシートを広げてピクニックを楽しむ家族連れ、さらには園内をゆっくりと移動するフラワートレイン(園内バス)に乗って花を眺める高齢者の姿まである。
「山=山に登る」というイメージを持っていると、拍子抜けするほど“自由な楽しみ方”がみかも山には存在する。たとえば東口にある「みかもハーブ園」は、季節の花々が咲き誇るフォトスポットとしても人気で、散歩がてら立ち寄るだけでも気持ちがいい。ここでは香りの良いハーブが風に乗って漂い、まさに癒しのアウトドアが味わえる。
また、西口エリアには「わんぱく広場」や「冒険の森」など自然林の中に遊具があり、小さな子どもでも山を感じながら遊ぶことができる。歩かなくても、遊ばなくても、自然の中で過ごすだけで、日常のリセットになるのだ。
さらに嬉しいのが、アクセスのよさだ。都内からでも車で約2時間ほど。東北自動車道・佐野藤岡ICや栃木ICからも近く、駐車場は無料。公園として整備されているため、アウトドア未経験者でも不安を感じずに訪れることができる。
■ビギナーでも登りやすい山

アウトドアに対して「きつそう」「トイレが不安」「迷いそう」と感じている人は多い。そうした“見えない壁”をことごとく取り払ってくれるのが、みかも山の最大の強みかもしれない。
舗装路が整備されていて、地図も随所にあり、迷いにくい。道中にはベンチも多く、休憩がしやすい。高齢者のグループがトレッキングポールをつきながら散策している姿を見かけることも多い。
また、園内を周回しているフラワートレインがあり、登らず歩かなくても、山の上のエリアにアクセスできる。登りはフラワートレインで、下りは歩いて──そんな柔軟な楽しみ方もできるのだ。
小さな子どもがいるファミリーなら、木や土の香りを感じながら、遊具で体を動かすだけでも立派なアウトドア体験になるし、疲れたら売店で休憩してからハーブ園でリラックス。公園としても、山としても使い勝手が良いのが、みかも山の大きな魅力だ。
そして忘れてはならないのが、一人登山デビューにも向いているという点。登山道が複雑でなく、登山者もそこそこ多いため、人の気配がある安心感がある。一人で山に入ることに不安を感じている人にとって、これほど心強いフィールドはない。
登山者同士の挨拶や、すれ違いざまのちょっとした会話。そんな“山らしい空気”もありながら、リスクは限りなく低い。ソロで静かに歩きたい人にも、友人と話しながら登りたい人にも、それぞれのちょうどよさがある。