■素材のうまみが生きている

バゲットと一緒にフルコースを堪能

 かくのごとし。缶のまま並べただけなのに、ちょいとゴージャスに見えるのが不思議だ。なお料理の合間につまむため、バゲットも切り分けた。

 ボルシチは塩味が控えめで、野菜それぞれの風味が生きている。土佐あか牛は歯応えのある赤身にサシ(脂)が入り、カットのサイズが大きいので食べ応えがある。缶詰の肉に特有の臭みがないのが見事だ。

バゲットに乗せても美味

 シャシュリックの豚肉は香ばしく、本来のうま味に加えてタマネギのうま味も加わっているからたまらない。しっかりした塩気と黒コショウの辛味があって、バゲットと一緒に食べるのにもいい。ジャガイモもホクホクであります。

スプーンですくって食べるのが缶詰スイーツの流儀

 モルコヴニツェはしっとりした舌触りで、パサついた感じはまったくない。甘さは控えめで、シナモンやナツメグ、クローブなどの香りが豊か。濃いめにいれた紅茶と相性抜群だ。

■まさにアウトドアにふさわしいセット

 この缶詰セットは、高知工科大学で助教授を務めているコスチャンチン・オブシアンニコウ氏(ウクライナ出身)のアドバイスを得て開発されている。彼はクリミア半島でよくピクニックに出かけ、缶詰を食べたり、バーベキューを楽しんだりしたそうだ。もちろん、まだウクライナが平和だった頃の話だ。そんなエピソードを知ると、この缶詰はまさにアウトドアにふさわしいものと思えてくる。

 控えめに言っても味が素晴らしいし、何より売上の収益分をウクライナ避難民などに送る仕組みがとられている。食べることでウクライナ人の支援ができるのが嬉しい缶詰である。

 

<今回の缶詰情報>

黒潮町缶詰製作所「ウクライナ支援缶詰セット」¥3,000

(ボルシチ195g、シャシュリック85g、モルコヴニツェ80g)