ぼくがキャンプ場を選ぶ時の第一条件は、ずばり“ロケーション”だ。自宅(東京)に近すぎず、かつ遠くもない距離感で、人が少なく、かつ景観が美しいところがいい。

 先日行った山梨県の四尾連湖(しびれこ)は、まさにその条件にぴったりのキャンプ場だった。

◼️四尾連湖の位置

四尾連湖の位置(分かりやすいようにデフォルメしています)

 四尾連湖は山梨県西八代郡の市川三郷町(いちかわみさとちょう)にある。市川三郷町といえば、歌舞伎の名門「市川團十郎家」の発祥地と言われているが、それはさておき。同町は甲府盆地の最南端に位置しており、町境を超えた南東には本栖湖などの富士五湖が広がっている。四尾連湖も標高850mの高さにある山上湖だ。

 今回のキャンプに同行したのは、ブラボーマウンテン編集部のO氏とI氏だ。たまにはみんなでキャンプに行こうと話をしていた時に、I氏が「それなら四尾連湖がオススメです」と提案したのがきっかけだった。

湖畔の気持ちがいいキャンプサイト

 ちなみに、四尾連湖には「水明荘」と「龍雲荘」という2つのキャンプ場があるが、今回利用したのは水明荘の方。管理棟からキャンプ地までは湖畔を15分ほど歩かないとたどり着けないことや、シャワーや風呂がなく、トイレは1か所のみという不便さがあって、初心者にはハードルが高いキャンプ場とも言われている。それでも、その不便さを上回るほどの魅力があるとI氏は言うのだ。

◼️人工物がほとんど見当たらないのがいい!

まずは火を熾すI氏

 管理棟に着いたところで、思わず「おーっ!」と声を上げてしまった。森の中に、湖面が突然ぽっかりと現れたような感覚なのだ。秘境感がすごい。

 チェックインを済ませ、無料で借りられる一輪車に荷物を乗せて、対岸にあるキャンプ場まで歩いていく。道は時折ぬかるみ、木の根が露出しているところもあるから、トレッキングシューズを履いていくと安心だ。

 キャンプ場は大きく4つの区画に分かれていて、それぞれが湖に面している。共同の炊事場とロッジ、トイレが1か所にまとまってあり、それ以外の人工物はほとんど見当たらないのがいい。トイレは洋式便座のバイオ式トイレで(個室が3つあり)、臭気がほとんどせず、建物自体も清潔に保たれている。

 管理棟からもっとも離れている「E」という区画は、水辺に近いところが平地になっており、その後背は木立の茂る急斜面で、その中にもテントが張れるよう整地されている(高台サイト)。簡単な流し台の付いた水道設備が2か所あるので、我々はそこをキャンプ地に決めた。

 O氏は水辺に近い平地にテントを張り、I氏とぼくは高台サイトの中にハンモックを吊るすことにした。

■魚の跳ねる音が響き渡る

木立の中にある高台サイト。木漏れ日がきれい

 さっそく火を熾し、近くの農産物直売所で買ってきたトウモロコシやキノコを焼いて食べる。平日だったため、他のキャンパーは1組しかおらず、周囲はとても静かだ。

 時折、魚が跳ねる「ドボン」という音が湖面に響き渡る。湖にはオイカワ、ハヤ、ヘラブナ、ブラックバスなどが生息しているらしく、水辺に立っていると、それらが悠々と泳いでいる姿が見えた。釣り好きにはたまらない環境じゃないだろうか。また、湖底から常に水が湧いているため、水の透明度が高くて美しい。カヤックやSUPで遊ぶこともできるそうだ。

■朝食に最適なスパムがゆ

焚き火を前にするとなぜか話が盛り上がる

 夜は肉を焼いたり、下らない話をして笑いあった後、それぞれの寝床に入った。ぼくが得意とする缶詰料理は、翌朝に披露する予定だったのだけど、食材のひとつを忘れてくるという失態を犯してしまった。作ろうとしていたのは「スパムがゆ」という料理で、キャンプの朝食には最適なのだ。

 そこで、家に帰ってからあらためて作り直し、撮影を行った。以下の画像はすべて家で撮影したものであります。