中学生の頃に初めて買ったアウトドア用の調理器具は、メーカー不明の飯盒と、EPIのバックパッカーストーブだった。飯盒はご飯を炊くほかに、雪を詰めてから火にかけて水を作ったり、湯を沸かして缶詰を温めたりと大活躍した。バックパッカーストーブは、折りたたんだバーナー部を収めるためのステンレスケースが付いており、それが小型のフライパンとして使えた。コンビーフを炒めたり、さんまの蒲焼き缶をタレごと入れて温め、卵を割り入れて卵とじを作ったりした。
その頃に気付いたのが、道具の面白さだった。アウトドア用の道具は、どれもコンパクトなのに高機能。それぞれに造り手の創意が感じられて、いじっているだけでも楽しい。もともと、ぼくは道具好きなのであります。
これまで様々な道具を買い集めてきたけど、それらのなかでも“CAN”P料理を作るときに必ずと言っていいほど使う道具がある。今回はその“ヘビロテ”している道具を紹介したい。
■ロッジのスキレットはサイズ違いで愛用中
まず、ロッジの「キャストアイアン・スキレット」。
鋳鉄製の分厚いボディは蓄熱製が高く、弱火でゆっくり火を通しながら蒸し焼きにしたい時にうってつけだ。同じ素材で出来たフタもかなり重く、食材から出た蒸気が外に逃げにくい。また、フタの裏面には複数の突起があり(一部の商品を除く)、液化した蒸気が突起を伝わって食材の上に落ちる構造もポイント。食材が水分を失いにくく、しっとり焼き上がる。
手のひらサイズの5インチスキレット(内径11.7cm)は、1缶の缶詰を調理するのに最適なサイズ。例えば、やきとり缶にシュレッドチーズを加えて加熱するとか(溶けたチーズが肉に絡まって絶品)。冷凍のハッシュドポテトの上にコンビーフをのせて蒸し焼きにするとか(コンビーフの脂が染みたポテトうまうま)。
5インチとはいえ、重さは一人前だ。実測すると本体が504g、フタは何と本体よりも重い505gもあった。フタに対する情熱が熱すぎるぞ、ロッジよ。
5インチモデルのワンサイズ上、6.5インチモデルも愛用している。内径が15.5cmあるので、例えばサケ缶にキャベツ等を加え、味噌などで味付けする北海道名物「ちゃんちゃん焼き」を作るときにちょうどいい大きさだ。
時には5インチと6.5インチの2つを持って出かけることもある。それぞれにフタも付けると、重量は合計で約2.5kgにもなるけど、苦労して運ぶだけの価値はありますぞ。
6.5インチモデルは、1人分のご飯を炒めるのにも都合がいい。ご飯に焼肉の缶詰を合わせて火にかけ、タレの染みたご飯がほどよく焦げてからナムルを加えると、熱々の石焼きビビンバができあがるのだ。まるで石のように分厚いスキレットだからこそ、おいしく仕上がる料理だと思う。