最近、缶詰業界の至るところで耳にする言葉がある。それは「イワシの逆襲」という言葉であります。

 初めは極洋(さばみそ煮缶でおなじみ)の缶詰担当T氏が言い始めたことで、今ではメーカーの垣根を越え、他社の缶詰担当まで囁き出したのだから面白い。

 イワシはサバと同じく青魚で、DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)が豊富に含まれている。どちらも健康に欠かせない不飽和脂肪酸なんだけど、その含有量は平均するとサバとほぼ同量(可食部100g当たりの栄養価)。そのため、「サバ缶だけじゃなく、イワシ缶にも注目して欲しい!」という思いが缶詰業界にはあるのだ。

 また、サバ缶は度重なる値上げですっかり高くなった。2019年には1缶200円前後で買えたものが、2023年には300円以上になった。一方のイワシ缶は1缶190円前後とほぼ値上げしていない。リーズナブルなのであります。

 そんな魅力あるイワシ缶はそのまま食べてもおいしいが、今回は南インド風のスパイスカレーを作ってみましたぞ。

■調理前に切っておくと見栄えがいい

いわし水煮レモン風味を開缶。身を缶の中で筒切りにしておく

 イワシ缶は極洋の「いわし水煮レモン風味」を選んだ。今回作ろうと思うカレーは、辛いだけじゃなく酸味が利いている南インド風である。本場では独特の酸味があるタマリンドペーストという調味料を使うが、レモンでも代用できるので、この缶詰にちょうどいい。それでも足りない酸味はポッカレモンで補うつもりだ。

 ところで、イワシ缶をカレーに使う場合は、あらかじめ缶の中で身を筒切りにしておくといい。骨がつながったままだと、出来上がったときに骨だけ目立ってしまい、見栄えが悪くなりますぞ。