日本でツナサンドと言えば、サンドイッチ用のパンを使った柔らかい食感のものが定番であります。でも、アメリカでは表面をカリッと焼いた「ツナメルト」が定番らしい。
かなり人気のメニューらしいが、ぼくは食べたことがない。ちょうどおいしいツナ缶が手に入ったので、実際に作ってみることにした。
■ツナメルトは文化的アイコン
アメリカ人にとってのツナメルトとは、子どもの頃から親しんできた家庭料理のひとつで、デリやダイナーの定番メニューでもある。それは単なる料理の枠を超え、郷愁や人のぬくもりまで感じさせる文化的アイコンなのだという。
それゆえ材料選びや焼き方、はてはマヨネーズのブランドにいたるまで熱い議論が交わされている。日本で「最上のおにぎりを作るためには!?」みたいな議論が起きるのと、ちょっと似ているかも。
そんなツナメルトについて、アメリカのサイトをいくつも読みまくった結果、基本のレシピがわかった。
1. パンは全粒粉やライ麦を使ったものが多い
2. ツナ缶は油漬け、水煮のどちらもOK。どちらも使う前に缶汁を切る
3. ツナに混ぜるのはみじん切りの玉ネギとセロリ。味付けはマヨネーズと塩、黒コショウ。なお、パンを焼くときにはバターもしくは植物油を使う
4. チーズはチェダーチーズ
材料も大事だが、より大事なのは完成形。パンの表面が香ばしく焼け、中のチェダーチーズがとろりと溶けた状態(メルト=溶ける)が理想なのだ。
よし、やってみよう!
■本マグロを使った珍しいツナ缶

今回使うツナ缶は、高木商店が3月に出した新商品「本まぐろ水煮・ツナ缶詰」であります。原料に使われているのは本マグロで、刺身用にさばく際に出た端材(切れはし)を活用したという、とびきりぜいたくなツナ缶だ。
原料もいいが、製法も革新的だ。一般的なツナ缶は、マグロやカツオから内臓などの不可食部を取り去った後、まず高温で蒸す工程がある。

蒸した魚体は冷却してから皮をむいて切り分け、油や塩水と一緒に缶に詰めて密封して、缶ごと加熱して仕上げる。
それに対して高木商店の本まぐろ水煮缶は、生の切り身を塩水と一緒に缶に詰めて密封してから、缶ごと加熱している。この製法だと、もともと魚肉に含まれている脂分や水分が缶内にとどまるので、魚本来の味・香りがダイレクトに残るわけだ。