「食塩不使用」の魚の水煮缶が増えているのをご存じだろうか。
減塩どころか、塩を一切使わずに造られたサバ缶やイワシ缶が、じわじわと販売数を伸ばしている。手掛けるメーカーも徐々に増えており、現在は伊藤食品、STIフードホールディングス、髙木商店、富永貿易、ノフレ食品、宝幸、マルハニチロなどが販売している(2025年2月時点)。
開発当初は、主に塩分の摂取を控えている人のための商品だったけど、実際に販売が始まると想定以上に販売数が伸びている。そこで缶詰メーカーがアンケート調査を行ってみると、どうやら料理が好きな人たちにも選ばれていることがわかった。
素材に工夫を加え、自分好みの味に仕上げるのが料理の楽しみ。だとすれば、確かに水で煮ただけの魚缶は、料理の素材として使いやすいはずであります。
■従来の水煮には塩分が含まれている
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従来の“水煮”という表記は、あらためて考えると誤解を生みやすかった。正確にいえば水ではなく、塩水で煮たものだからだ。
味としてはシンプルだけど、料理に使うなら塩分が含まれていることを考慮しないといけない。ぼくはサバの水煮にしょう油を垂らして食べるのが好きなんだけど、しょっぱくなり過ぎてしまうのが不満だった。レトルトのカレーや麻婆豆腐の具に使う場合も、水煮缶が持っている塩分が邪魔になることがある。だから食塩不使用缶の登場は、個人的にもかなり嬉しい。