ALL缶詰弁当。それは、ごはん以外の食材をぜんぶ缶詰でまかなうという壮大な試みであります。

 肉か魚の缶詰があれば主菜になるけど、それだけでは寂しいから副菜も欲しい。ところが和え物や煮物などの副菜の缶詰は、これまでごく限られた種類しかなかった。ゆえにALL缶詰弁当は妄想するだけで、一度も実現できなかったのだ。

 しかし、この数年で缶詰の中身は多彩になり、副菜に使えるものが続々と登場してきた。それらを組み合わせれば、元が缶詰とは思えない立派な弁当が作れるはず。いよいよ妄想を現実にする日がやってきたのであります!

■SDGsなキーマカレー缶

カレー弁当に使った缶詰はこの4種類

 最初に思いついたのは「カレー弁当」だった。僕は高校時代に毎日弁当を持って行ったが、前夜がカレーだった日は、弁当にも必ずカレーが入っていた。一晩たったカレーは味がこなれていて、冷めた状態でも妙にウマかった。

 そんな思い出弁当を再現するのに使ったのはクイージの「イノシシ肉と大豆のキーマカレー」だ。島根県美里町で生まれたご当地缶詰で、田畑を荒らすイノシシをジビエとして活用したSDGsな缶詰であります。

イノシシ肉と大豆のキーマカレーの外観と内観

 イノシシはワナ猟で捕獲し、食肉処理場で衛生的にと殺・加工される。その枝肉はレストランなどの飲食店に卸されるほか、一部がこうして缶詰化されているのだ。肉には臭みやクセがなく、香味野菜とスパイスを組み合わせたカレーもスパイシーで美味。適度にとろみが付けてあるのでごはんに絡み、弁当箱からも漏れにくかった。

 他にも、おかずの定番の鶏唐揚げにホテイフーズ「からあげ和風醤油味」をチョイス。しゃくしゃくした歯触りが楽しめる味の加久の屋「Mikata きんぴらごぼう」を副菜とし、道本食品「きゅうり漬キムチ味」を福神漬け代わりに添えた。