コンビーフはややこしい奴である。正式名称はコーンドビーフ(Corned Beef)で、英和辞典で引くと“塩漬けの牛肉”と出てくる。缶詰ならではの食品かと思いきや、本来は牛肉を塩漬けにした保存食の一種だった。
まっ、それくらいの情報はウィキペディアにも書いてあるけど、不思議なのは「Corned(コーンド)」という単語であります。トウモロコシのコーン(Corn)を動詞にして、edを付けて形容詞にしたら、「塩漬けの〜」という意味に変わるらしい。何だそれ、ワケが分からん。
じつは、コーンドビーフという名の歴史は古く、すでに17世紀頃には世界的に使われていたという。その時代のコーンドビーフは、表面にまぶした塩の粒が大麦くらい大きかった。で、当時の英語では穀物すべてをコーンと総称していた。なので、“大麦漬けの牛肉”という意味でコーンドビーフと呼んだわけ。そこから、塩漬けという作業そのものがコーンドと呼ばれるようになったらしい。
そんなコーンドビーフが缶詰になって登場したのは1875年のこと。缶詰は密封と加熱殺菌によって腐敗を防ぐから、牛肉を塩漬けにする必要はなくなった。それでも未だにコンビーフと名乗っているから、ますますややこしいのだ。でもそういうところが僕は好き。
■アウトドアに嬉しいハイテク容器
缶詰のコンビーフも、誕生からすでに148年が経った。中身はほぼ変わらないけど、2010年代になって容器が激変した。鍵を使ってくるくる開ける、あの台形の金属缶が製造終了になったのだ。
代わりに登場したのが超ハイテク容器で、例えば明治屋のコンビーフは多層構造のプラスチック製。アルミシートのフタをはがせば電子レンジ加熱が可能で、重量は従来の半分以下。それでいて賞味期間は3年と、かつての金属缶と変わらない。プラスチックは滑りがいいから中身もきれいに取り出せ、アウトドアで使うのに至極便利である。