なぜか、末端の地域だけで愛される缶詰がある。その魅力を深掘りすべく、今回は沖縄の「コンビーフハッシュ」を紹介したい。
缶詰名のコンビーフハッシュ(Corned Beef Hash)とは、もともとは料理の名で、その源流はハッシュ(Hash)という欧米の家庭料理にある。余った料理を刻んで味変し「残さず食べよう!」という、いわばリメイク料理だ。
ゆえに、食材は肉だったり魚だったりと多種多彩だが、そこに目を付けたのが米国のホーメルフーズ社。コンビーフやローストビーフにポテトを加えて缶詰にし、1950年に売り出したのだ。
コンビーフハッシュはコンビーフとポテトの組み合わせで、戦後の沖縄県民に広く受け入れられた。今では沖縄県内にある沖縄ホーメル社でも製造されているほどであります。
■ポテトのおかげでマイルド
コンビーフハッシュはコンビーフに似ているけど、いくつかの点で違いがある。まず、肉の形状は挽き肉状で、繊維状にほぐれるコンビーフの肉とは別物だ。またポテトが混ざっているために、コンビーフ特有の匂いはずっとマイルドである。
脂分が多く、炒めると香ばしくなるのはコンビーフと同じ。なのでそのまま食べるよりも、しっかり炒めて食べた方が断然おいしい。沖縄でもチャンプルー(炒め物)の具に使われることが多いが、もっとも簡単なのは炒めてごはんにかけるというもの。塩味が比較的強めで、ごはんがグイグイ進んでしまう。
ということで特徴をまとめると、塩味が強くて脂分が多め。さらにポテトが入っている……とくれば、カレーにアレンジするのにぴったりではないか。