目新しい缶詰が登場しては消えていく中で、100年以上もの歴史を持つ缶詰も存在する。良質の原料にこだわり、手間を惜しまぬ製法を守り続けて、今だにロングセラー商品として君臨しているそれらを、僕は「レジェンド缶詰」と呼んでいる。
レジェンド缶詰の多くは、今どきの缶詰と比べてデザインがちょいと地味だ。中身も「大和煮」や「水煮」など缶界(缶詰業界)独特の調理法が多く、どんな中身なのか想像しにくい人もいると思う。そこで今回は、レジェンド缶詰の代表「サケ缶」と「ソーセージ缶」を取り上げ、どんな中身なのかを深掘りしたい。もちろん、どちらも“CAN”P料理で活躍しますぞ!
■サケ缶製造は1年のうち数カ月だけ
マルハニチロ「あけぼのさけ」の誕生は1910年(明治43)、今から112年前のこと。前身会社の日魯(ニチロ)漁業がカムチャツカで製造したのが始まりだ。2007年にマルハグループと統合してマルハニチロになったが、あけぼのブランドは引き継がれ、サケ缶の中で常に売上トップを誇っているからすごい。
原料はカラフトマス(ピンクサーモン)で、おおむね5月〜7月に北海道東沖を回遊する。この時期は産卵前で、盛んに餌を食べるから身に脂が乗る(つまり旬)。その新鮮な魚体を使うから、缶詰製造もその数ヵ月だけ。一年中造っているわけじゃないんですぞ。