忘れられない名言がある。それは和食店「分とく山」のご主人・野﨑洋光さんがおっしゃった「缶詰は下拵えの済んでいる食材である」という言葉だ。じつは野﨑さんは、大の缶詰好きなのであります。
キャンプや登山でも、この考え方は有用だと思う。野外では生の食材を扱いづらいこともあるからだ。では、どんな缶詰が食材として使いやすいかを考えてみよう。
■ぼくがプライベートでも愛食する缶詰
缶詰博士として活動するぼくは、野外での缶詰料理を“CAN”P料理と呼んでいる。基本的には、新商品の缶詰を使うことが多い。まず缶詰そのものの味の評価をし、さらにアレンジ料理を考案して、缶詰メーカーにその結果を送っている。
ただ、そうした“仕事”とはあまり関係のない“趣味”で缶詰料理を作ることもよくある。我ながら最近になって気付いたが、そんなときに使う缶詰はだいたい決まっている。きっと食材として使いやすいからだろう。

そのひとつが、国分グループ本社の「缶つま・マテ茶鶏のオリーブオイル漬け」であります。
マテ茶鶏のオリーブオイル漬けを食材として見た場合、まず肉片が大きいことがありがたい。生の肉に例えれば、細切れではなく大きめにカットされた肉のようなもので、そのまま使えば食べ応えをアピール出来るし、小さくしたいなら自分でカットすればいいだけだ。
また、肉の量が多いことも高評価ポイントだ。1缶あたりの肉の量(固形量)は約80gもある。おおむねコンビーフ1缶の肉の量と同じであります。
■高品質なエクストラバージン・オリーブオイルを使用

この缶詰は、品名にある通り「マテ茶鶏」がオリーブオイル漬けになっている。マテ茶鶏が何なのかは後述するけど、エクストラバージン・オリーブオイルを使っている点が素晴らしい。昨今は円安の影響下で価格がかなり上がっている高級オイルが、缶内いっぱいに満たされているのだ(約100ml)。
ただ、これだけの量を料理に使おうとしても、持てあます人がいるかもしれない。その場合は、バゲットを浸して食べればいい。エクストラバージン・オリーブオイルは、健康維持に欠かせないオレイン酸やポリフェノールを豊富に含んでいるから、残したらもったいないですぞ。
■流行りのチラキレスを作ってみる

ところで、この缶詰の味付けは塩味がベースで、風味付けとしてガーリックがしっかり利かせてある。ということは、ガーリック風味の料理に使えば無理がないわけだ。
今回はメキシコ料理のひとつ、「チラキレス」を作ることにした。最近のアウトドア業界を見ていると、この料理がちょいちょい登場しており、ちょいと興味を惹かれたのであります。
必要な材料(2人分)は以下の通り。
・マテ茶鶏のオリーブオイル漬け 1缶
・トルティーアチップス(無塩タイプ) 65g
・シュレッドチーズ 好きなだけ
・ホールトマト缶 1/3缶
・みじん切り玉ネギ 1/4玉
・パクチー 好きなだけ
トルティーヤチップスは、無塩(素揚げ)タイプのものだと仕上がりがしょっぱくならない。イオンのPBブランド「トップバリュー」で、65g入りのものが税込106円で買えるのでオススメしたい。