どうも缶にちは! やきとり缶は“温めて食べる派”の缶詰博士・黒川勇人です。
やきとり缶は、常温で食べてもそれなりに美味しいけど(ゼラチン質が固まって煮こごりになったところなど)、温めれば肉が柔らかくなるし、ゼラチン質が溶けてタレと混ざりあい、うっとりするような舌触りになる。調味料の香りも断然、際立つのであります。
タイカレー缶でも、さばのみそ煮缶でも同じことがいえる。本来が温かい料理なら、その状態に戻してやるのがベターなのだ。ゆえに中身を鍋に移して火にかけたり、耐熱容器に移して電子レンジで加熱したりするんだけど、アウトドアなら缶のまま温めれば手間がかからず、余計な食器も汚さずに済む。
問題は「どんな方法で温めればいいのか?」ということ。今回は4通りの方法を検証してみましたぞ。
■ガスバーナーを使って温める場合
最初はガスバーナーを使って加熱してみる。燃焼機器はSOTOのバーナー「アミカス」を使用。
弱火にした状態で、フタを開けた缶詰をのせてみる。直後から缶汁が泡立ち、あっという間に沸騰した。
こうして直火にかける方法は、“日本の”缶詰業界ではNGとされている。理由は明確で、缶の内側に施されたフィルムやコーティングが溶け出す可能性があるからだ。
ただ、イギリスには缶ごとオーブンで加熱調理する「ミートパイ」の缶詰がある(フタは取ってから加熱する)。オーブンの設定温度は230℃で、30分間加熱するから、コーティングにしろフィルムにしろ、溶け出す可能性があるのではないか? でも、そんな缶詰が市販品として問題なく売られているのだ。
なんだかモヤモヤする話だけど、ガスの炎は1,500℃程度になるといわれている。つまり、缶詰をガスバーナーの直火で温めるのは避けた方が安心であります。
次は直火ではなく、バーナーパッドの上に載せてみる。最初は変化がないが、メッシュが熱で赤くなった途端に、缶汁が沸騰し始めた。慌てて缶を火から下ろす。
バーナーパッドは、炎を直接通さず、熱エネルギーに変換して伝える器具だ。だから直火にかけるよりは安心のはずだけど、それでも火力は強い。
ゆえにバーナーパッドを使う場合は弱火にし、加熱時間もできるだけ短いほうがいい。