肉や野菜を思うままに、好きなだけ焼いて食べるのがバーベキューの醍醐味であります。若い頃はひたすら肉ばかり頬張り、中高年になってからはもっぱら野菜を多めに食べるようになった。いずれにしろ、その狂おしいような饗宴の合間に、ふとなにかまったく違うものが食べたくなる瞬間がある。

 今どきのお洒落キャンパーなら、それはスモアや焼きフルーツだったりするのかもしれないが、僕がいつも用意するのは「スイートコーン缶」と「あずき缶」だ。どちらもお洒落とはほど遠い存在だけど、コンビニやスーパーの定番商品だから、入手しやすい。しかも、使い方次第ではとてもいい仕事をしてくれるのだ。

■存在感が強い食塩無添加コーン

いなば食品「食塩無添加コーン」

 スイートコーンの缶詰は、K&K国分やCGCジャパン、はごろもフーズなどのメジャーブランドの他、契約農家産コーンを使ったこだわり商品もある。それらの中でも特に存在感が強いのが、いなば食品「食塩無添加コーン」であります。

 その名が示す通り、塩は使っておらず、砂糖やクエン酸も不使用。というより、原材料はコーンだけという潔さだ。ほとんどのコーン缶は微量でも塩を使っているから、何も味付けしていないのは極めて珍しい。

 粒をかめば皮がパリッと破れ、中からコーンの甘い汁が飛び出してくる。缶詰でこんな食感と味が出せるのかと、食べるたびに驚いてしまう。

■コーンの皮がふやけにくいわけは?

焼きもろこしをイメージした「バター醤油コーン」

 ところで、生鮮のとうもろこしの食べ方には主に「茹で」と「焼き」があるけど、焼きといえば香ばしい醤油味が鉄板。缶詰でそれに近い味を出すためには、コーンを鍋やフライパンに入れ、醤油を掛け回してさっと焼けば良し。よりゴージャスにするなら、バターを10gほど載せて焼けば「バター醤油コーン」の缶成であります。甘じょっぱい味とプチプチ弾ける食感は、BBQの箸休めにぴったりだ。

 ほとんどのコーン缶は、缶の中にコーンと水を入れ、水を沸騰させてコーンを加熱している。それに対してこの食塩無添加コーンは、基本的には水を入れずに加熱する。コーンが持っている水分だけで蒸すわけだ。だから製造後に時間が経っても皮がふやけにくいし(水に浸っていないから)、料理に使うときも汁気が邪魔にならない(缶の中に入っている水分はコーンから出た水分)。それほど画期的な缶詰が、コンビニやスーパーで普通に売っているのだ。なんて素晴らしい国なんだ、日本は!