コロナ禍に見舞われたこの3年間、僕はたびたび部屋の中にテントを張って遊んだ。とくに1回目の緊急事態宣言が行われた2020年は、県をまたぐ移動が制限されたので(懐かしいな)、ほとんどキャンプに行けなかった。その不満を解消するために部屋でキャンプ気分を味わったのだ。

 たとえ畳敷きの和室でも、お気に入りの道具を広げれば気持ちは上がる。夜はテントのジッパーをきちんと閉めてシュラフで寝る。家人の蔑むような視線が痛かったが、とことん本気でやるのが部屋キャンプのコツであります。

 ただ、部屋キャンで残念なのは火をおこせないこと。焚き火ができないのは当然だけど、僕が持っているバーナー類はすべて屋外用だ。だから缶詰を湯せんで温めて美味しくするテクニックが使えず、そのまま食べるしかなかった。

 でもそのおかげで、冷たいままでもじゅうぶん美味しい缶詰がいくつか見つかった。今回はその中から厳選した3缶を紹介したい。

■肉かす、出し粉まで入った富士宮やきそば缶

ホテイフーズコーポレーション「富士宮やきそば」

 まず紹介したいのは、この1缶。ホテイフーズコーポレーション「富士宮やきそば」の缶詰であります。

 富士宮やきそばといえば、B-1グランプリでゴールドグランプリ2冠を達成した静岡県富士宮市のご当地グルメだ。コシのある太麺にキャベツ、肉かす(豚肉の背脂)、出し粉(イワシ削り節)を加えてあるのが特徴で、それらすべてが忠実に再現されている。

 それもそのはず、この缶詰の監修には富士宮やきそばのアンテナショップが関わっているのだ。おまけにB-1グランプリの主催者からも公認を得ているというから、紛うかたなき本物と言っていいだろう。

 麺はちょっと柔らかくて、さすがに焼きたてのような食感はない。それでもモチモチ感はあるし、例えば夕方に買った富士宮やきそばを食べ忘れて、翌朝に食べたような、それくらいの美味しさは味わえる。甘辛いソースがまんべんなく絡んでいるのもいい。

焼きそばパンにしてもウマイ

 そのまま食べてもじゅうぶん美味しいが、パンに挟んで焼きそばパンにしてもイケる(別の日に撮影)。青ノリと紅ショウガをトッピングすれば、風味がさらに増しますぞ!