3月の海は、徐々に北からの風も収まりつつあり、暖かい空気に包まれるようになってきます。海に囲まれた長崎県には、入り組んだ海岸線に1,479もの島が浮かび、年間を通して多くの観光客が訪れます。とはいうものの、冬から早春はまだ訪れる人も少なく、静かな雰囲気を楽しめます。この時期をねらって、船で離島に渡ってみました。
■魚を食べる海の猛禽類「ミサゴ」
猛禽類というと、険しい山奥にひっそりと暮らすワシやタカというイメージをもっている方も多いでしょう。しかし、中には、海や河口、広い湖沼に住むものもいるのです。その代表格が「ミサゴ」です。ミサゴの主食は魚。空中でホバリングをしながらピタッと止まり、狙いをつけると水の中に突っ込んでいって魚をつかまえます。同じような狩りをする野鳥にはカワセミがいますが、カワセミが嘴で魚をつかまえるのに対して、ミサゴは足の鋭い爪で魚を捕らえます。時には、ミサゴの体長とほぼ同じ60cmくらいの大型の魚を捕らえることもあるようです。
ミサゴの英名は、Osprey(オスプレイ)。空中で自由に停止できるような優れた飛行術を持っていることが、軍用機の名称にも使われるようになったのでしょう。
■巨岩の上で営巣するミサゴ
長崎の離島から近くの海岸線を巡る遊覧船に乗ってみました。この日は、風も弱い穏やかな快晴の日。透き通った海水は、覗き込む私を吸い込むようでした。
海から突き出す巨岩を眺めていると、岩の上に白く変色した枯れ木がたくさん積まれているのに気づきました。双眼鏡を目に当てると、その上には白い点が鎮座しています。ミサゴです。繁殖の時を迎え、抱卵をしているのでしょうか。じっと落ち着いています。
その後も、巨岩だけでなく海に突き出した崖の上など、5つの場所で次々と営巣を確認することができました。狭いエリアにこれだけのミサゴが子育てをすることができるということは、多くの魚が生息していることの証でもあります。豊かな海の生態系が見えるようでした。また、遊覧船が、巣に近づき過ぎることなく、適度な距離を保っていることもミサゴに安心感を与えているのでしょう。大きくそして分厚く積み上げられた巣材を見ると、ミサゴが長年安定して同じ場所で子育てをしていることが伝わってきます。エコツーリズムのあり方を再認識する機会にもなりました。