オイルサーディン缶詰と聞いて、ごはんのおかずを連想する人はどのくらいいるだろう? サバ缶とは違い、オイルサーディン缶にはどことなく“酒のつまみ”というイメージがつきまとう。

 実際、つまみとして提供しているバーもある。とくに原料のイワシを一度燻製してから使ったオイルサーディン缶は、その燻香がウイスキーの燻香にぴたりとマッチするから、いつものウイスキーがたまらないウマさに……。

 おっと、今回はつまみの話ではなかった。じつはオイルサーディン缶は、ごはんのおかずにも使えるのであります。それを90年代にすでに提案していたのが、作家の森瑤子さん。エッセイ集『デザートはあなた』(角川文庫刊)の一篇に、乏しい食材だけでも美味しく作れる「サーディン丼」の話が出てくるのだ。

 ということで、今回はそのサーディン丼を“CAN”P料理で再現してみた。でもそれだけじゃ面白くないので、個性のまったく違う2種類のオイルサーディン缶を同じように調理し、どちらがサーディン丼に合うのかを検証してみよう。

■身の柔らかさがウリのキングオスカー

キングオスカー「オリーブオイルサーディン」

 1缶目はキングオスカーの「オイルサーディン」だ。大手スーパーにも並ぶメジャーな商品なので、みなさんも見たことがあると思う。オリーブ油を使った「オリーブオイルサーディン」と、大豆油を使った「オイルサーディン」の2種類があり、今回はオリーブ油タイプをチョイスした。

 キングオスカー缶の特徴は、何といっても身が柔らかいこと。缶から取り出そうとすると、ほろほろと崩れてしまうほどだ。なので、ごはんに合わせたときに食べやすいかもしれない。

 原料に使われているのは、ノルウェーのフィヨルド沿岸水域で獲れるブリスリング種というイワシで、お腹のあたりがぷっくりと太っている。いかにも脂が乗っていそうだ。

 ちなみに、キングオスカーはノルウェーの企業だが、この缶詰が製造されたのはポーランドの工場。なので、この記事ではざっくり“北欧製”と呼んでおります。