■ライズの主は良型ヤマベ! さらに美しいアメマスもロッドを絞る
緩やかな流れ、頭上からひらりひらりと紅葉した葉が舞い落ちてきます。時おりどんぐりが勢いよく落下すると、うわずった魚たちが、そのタイミングでしきりにライズを繰り返しています。おそらくエゾウグイだとたかを括ってフライを落とすと、果たして元気なエゾウグイが飛び出してきました。
数匹釣った後、派手に水飛沫が上がりました。合わせると同時に、ラインはぐいぐいと水中に引き込まれていきます。激しいローリングにロッドが絞られていきます。慎重にやり取りしつつ手元に寄せると、25cmほどのヤマベが恨めしそうにこちらを睨んでいました。婚姻色が出た魚体に精悍な面持ち、思わぬ良型に心躍ります。
瀬の中の小さな弛み、これまた期待せずにフライを漂わせると、すかさずフライが消えました。ロッドを弓なりにしならせてくれたのは35cmほどのアメマス(エゾイワナ。分類が困難なため、便宜上アメマスと表現しておきます)でした。流れるような優美な魚体はアメ色に白斑が目立ちます。赤みのある秋の光に艶やかに輝いていました。
その後も時おり良型のヤマベとアメマスが釣れるようになり、さらりと遡行するつもりが魚影の濃さにすっかり時間が経っています。予定していた場所より下流でしたが、すぐ横の車道に上がって退渓しました。
これから本格化する紅葉シーズン、渓の彩りは一層鮮やかになっていくでしょう。そんな中でラインを伸ばす様を想像するだけで、ついニンマリとしてしまいます。あらためて北の大地の豊かな自然環境を実感しながら北海道を後にしました。