■装備はしっかりと!

毒虫やクマ対策のアイテムを充実させています。手動式のエアーホーンはかさばりますが、これなしだと1日2〜3度クマに出会う場所でも定期的に鳴らしていれば、不意のバッティングが防げています

 山奥の深い谷間ですので、携帯の電波は圏外です。釣り人はたまに訪れているようですが、人気(ひとけ)はありません。当然、クマも生息しています。

 遡行としては易しい場所ですが、登攀用具がないだけで、沢登りと同様の装備をバックパックに詰め込んでいます。通常のファーストエイドの準備に加えて、虫除けやバグネットなども忍ばせて。ポイズンリムーバーはすぐに出せるような場所に仕舞ってあります。

ハチやヘビ、ムカデなどに刺されたり噛まれたりしたとき、対処のスピードが大事です

※ 商品によって細かい操作性や耐久性が違うように感じます。使用時には一刻を争うので、使い方には十分に慣れておく必要があります。プラスチックに亀裂が入ったりして使えないこともあるので、事前にチェックしておきましょう。

 癒しの雰囲気に満ちた森ですが油断は大敵。釣りに集中は必要ですが没頭しすぎないよう、絶えず周囲に気を配りながら一歩一歩慎重に遡行していきます。何度も訪れている勝手知ったる場所、けれど慢心は命取りになります。僕自身、(北アルプス北部で)山仕事や遭対協としても活動していますが、「ミイラ取りがミイラに」ならないように、緊張感を失わないように心がけています。

 ふと視線を感じて振り返ると、立派なカモシカがこちらを見つめていました。「クマじゃなくて良かった……」

こちらを見つめるカモシカ(写真は今回のものではなく、昨年ほぼ同じ場所で撮ったものです)