絶景を眺めて心を整えたい。そう考えた筆者が今回の旅先に選んだのは、山形県にある通称“山寺”とボートでしかたどり着けない絶景が見られる「三淵渓谷(みふちけいこく)」。筆者の2日間にわたる体験を通して、山形を訪れるきっかけになれば幸いである。
■寄り道をしながら絶景を味わえる「宝珠山立石寺」

“山寺”の愛称で親しまれている宝珠山 立石寺(ほうじゅざん りっしゃくじ)は、860年に慈覚大師(じかくだいし)が開いた天台宗の寺で、毎年国内外から多くの観光客が訪れる東北の霊山だ。
登山口から奥の院までの1,015段ある石段を登ることで、煩悩を消し去る修行の場として古くから信仰されてきた。歴史の旧跡を巡りながら、絶景を楽しむことができる魅力的な観光スポットである。今回は、俳聖松尾芭蕉が出会った風景や山寺の絶景を味わいながら、“心を整える”ことをテーマに歩いた。句碑や数々の旧跡を辿り、現在も修行や供養の場として息づく神聖な奥の院を目指し、約60分の登山を楽しむ。
立石寺へは山形駅から、車なら山形自動車道・山形北ICを利用して約30分、電車ではJR仙山線・山寺駅から徒歩10分ほどでアクセスできる。
●名句とともに歩く「せみ塚」

山門をくぐると、緑の木々に囲まれた石段が奥の院へと続いている。静かでひんやりとした空気が心地よく、思わず深呼吸をしたくなった。登り始めて20分ほどで山寺の見どころの一つ、「せみ塚」が現れる。松尾芭蕉が詠んだ俳句「閑さや 岩にしみ入る 蝉の声」で知られる場所であり、句をしたためた短冊がこの地に埋めてあるそうだ。
連続した階段を登り続けるため、疲れたときに立ち寄る休憩場所としても最適だ。大きな岩壁を眺め静けさに浸ることで、呼吸が整い気持ちもリラックスできた。
●霊山山寺の絶景「五大堂」

石段はせみ塚から仁王門を経て、修行の中心である奥の院へと続くが、筆者は絶景を先に見るためまず五大堂へ向かった。ケヤキ造りの美しい仁王門を過ぎ、山頂売店で横道にそれて約30分、県指定文化財ともなっている納経堂と開山堂が現れた。その奥へ進むと、五大明王を祀る五大堂があり、山寺で一番の絶景を楽しめる。五大堂から里山を見下ろすと、登ってきた達成感も一層だ。
その後、参道の終点である奥の院(如法堂)へ参拝し、帰路へついた。奥の院では御朱印帳に御朱印をいただくことができる。歩きやすい道ではあるものの、長い石段を登るため動きやすい服装と、歩きやすい靴を選ぼう。でも、山寺で特別なことをする必要はない。自然に気持ちをゆだねて、石段を登っていくと心が少しずつ整っていくように感じられる。
下山後は、門前町で土産物店や地元グルメを楽しめる。山寺周辺の観光スポットにも足を運んでみてはいかがだろうか。
●宝珠山 立石寺(山寺)
住所 〒999-3301 山形県山形市山寺4456-1
電話 023-695-2843
ホームページURL:宝珠山立石寺
●【MAP】宝珠山 立石寺(山寺)
※営業日時はホームページよりご確認ください